日刊ニュース

2013.10.02 のニュース

業転扱いも、即取引停止としない-流通証明書添付でルート解明を狙う-

 この通達によって公取委の報告の趣旨を踏まえて元売に対応を求めたことになる。元売サイドも、業転の扱いについては、JXエネが販売関連コスト(ブランド料)を1円/リットル値下げすることで、業転と系列仕切との価格差の縮小で対応する方針を伝えている。さらに木村・JXエネ会長も「ブランド、業転問題は元売と販売業者が対立する問題ではない。ブランドは元売のみがつくるものではなく、販売業者と共に信頼を得てつくりあげるもの。話し合うことで理解を得られる」と語っており、柔軟な対応を示している。
 また、全石連と石油連盟は11月14日に、平成26年度の税制改正問題が大詰めの段階となるため「これ以上石油諸税の増税反対、TAX ON TAXの廃止を要望する」をスローガンに総決起大会を開催することになっており、開催の前にこの業転問題を決着することが要請されている。
 販売業者サイドも、本音は業転の購入自由化を求めているのではなく、価格差の是正を求めているものであり、ブランド料が引き下げられたことは歓迎している。1円の引き下げでは改善されないとの不満も残るが、今後は各元売との交渉となる。
 今回の通達は、業転を購入(浮気)しても、元売が直ちに取引停止(離婚)するのではなく、大目にみて柔軟に対応することを求めているものである。解釈によっては業転の購入・販売を認めることになるが、何%という規定はなく、程度の問題であり、個々の商取引の中での対応を求めることで元売の優越性を抑えることとなる。
 しかし、元売はブランドの下で品質を保証し、消費者保護の立場で系列販売を貫く方針で、業転の扱いを少量であるからと容認するのかは疑問が残る。業転を扱っても取引を停止(特約契約の解除)をしないとしても、実例がないためどのような対応となるかが不透明であり、個々の特約契約での解釈の問題となる。
 エネ庁の通達は、業転を取り扱ったことを理由に、①取引の停止、SSの運営委託の解除、仕切価格の値上げ、元売POSシステムの利用停止を行なうことはしない、②業転玉を扱う場合には、今後の取引等に影響があると受け取られるような通知を行なわない、③正常な商慣習に照らして不当に特約店に不利になるような取引条件を設定する等の独禁法に違反する疑いのある行為は行なわない、と通達している。
 また、流通経路(供給ルート)を証明するため製油所、油槽所か61の石油製品の流通経路を記載した証明書の添付を今年中の実施で検討することにしている。この流通経路証明書の添付は、無印SS、HCなどの供給ルートの解明を狙っているが、これにより供給元の元売が業転を自粛するかは疑問が残る。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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