2013.10.04 のニュース
流通経路証明の添付が可能か 業転ルートの解明で価格差を是正へ
ガソリンの業転の扱いを巡って、エネ庁は元売に対して、製油所、油栖所からの石油製品の流通経路を記載した証明書の添付について今年中に実施を検討することにしている。この流通経路証明書の添付は、全石連から要望が出ていたもので、無印SS、HCなどの供給ルートの解明を狙っているものである。
目的としては、系列取引に関する理解の向上、透明性の確保、系列販売網の強化の取組みと合わせて、非系列取引(業転)の透明性の確保に取り組むとしている。両論併記となっているが、業転玉の流れを調査することが狙いとなる。
現状の玉の流れは、元売の製油所、油槽所から特約店、商社など特約契約に基づいて販売(出荷)され、大半が系列SSに供給される。しかし、一部が業転玉として無印SS、HCなどの量販店に供給されており、また、商社系のプライベートブランドにも供給されるが、これら業転玉の供給ルートは不明となっている。元売も商社系などの大手業者に販売するが、その後は、どのルートで販売(供給)されているのかは不明で、把握するのは不可能であると回答している。たしかに、一度販売した玉のその後の経路を追跡することは難しいが、HCなど大量販売しているケースへの供給を、まったく何も知らないという回答には販売業者から強い反発が出ている。
そのため、過去には供給しているローリーを追跡調査したケースもあるが、仮に供給先が判明して、その証拠を提示しても解決の方策とはならず、不透明のまま経過している問題である。販売業者からすれば「業転を販売しているのは元売であり、その玉がどこに流れるか不明であるとの回答は無責任である」として業転玉のルート解明が求められていた。一方、供給ルートが証明されれば、業転玉(非系列)であっても供給元売が証明されることになり、その業転玉は元売の商品ということで品質が保障されることにもなる。
系列SSは、元売の品質証明が添付されているため品確法では自主検査が免除されているが、無印SSは、供給証明が無いため自主検査が義務付けされている。エネ庁の通達では、系列特約店が業転玉を取り扱うことを理由に直ちに取引き停止、SS運営の委託の解除などを行なわないよう、業転の扱いに弾力的な対応を求めるなど、新しい方向性を打ち出している。
業転玉を購入して安値で販売しているSSに対しても、供給元売が判明することになれば、差別対価、数量割引きなどで問題とする材料になるが、業転ルートを解明するための経路証明書の添付が実際にできるのか、複雑な経路まで追跡することは商取引との問題も絡んでくるため難しい面もある。また、元売からの業転ルートが判明しても、業転の自粛に結びつくのかは別問題となる。
HCなどでは。販売価格が系列の仕切価格と同値という超安値となっている。安い業転を仕入れることで低マージンでの薄利多売が可能となっており、経営が成り立っている。公取委でも、この超安値での販売をこれまで不当廉売に該当しないとしているが、今回の一連の措置で業転が値上がりして、販売価格における価格差が縮小するのかは、今後の市況動向にかかってくる。