日刊ニュース

2013.10.18 のニュース

産業競争力強化法案を国会に提出-供給過剰、過当競争など調査も-

 政府は15日、「産業競争力強化法案」を閣議決定し、今臨時国会に提出した。この法案は6月に策定された「日本再興戦略」(閣議決定)の施策を実行し、経済を再生して産業競争力を強化することを目的としている。15日から臨時国会が開催となり、安倍政権にとっては、ねじれ解消後の本格的な国会審議となる。今後は来年度予算(消費税の増税など)、同じく税制改正、TPPなどが焦点となるが、経済政策ではアベノミクスの3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」の柱が競争力強化法である。
 早急に実行に移すことにより、日本経済の歪みである「過剰規制」、「過小投資」、「過当競争」を是正するもので、規制改革のための「過剰規制」を打破する新制度として「企業実証特例制度」(企業単位で規制の特例措置を適用する制度)、「グレーゾーン解消制度」(安心して新期事業分野に進出できるよう規制の有無が確認できる制度)を設けることになる。さらに「産業の新陣代謝」の促進を図る措置としては「ベンチャー企業への投資」、「事業再編の促進」、「先端設備の促進」を掲げている。
 うち「事業再編の促進」では、国内市場で消耗戦を繰り返している状況下で、企業内では十分に成長できない事業の再編・統合と新たな市場への挑戦を優遇措置で支援する。過剰供給・過当競争などの事業再編が必要な分野については国が調査・公表するとしている。ただし、①過剰供給等の分野で、その解消につながるものに限る、②既存の事業構造の変更を行ない、収益性・生産性を向上させるものに限り支援するとしており、国が積極的に介入するのではなく、税制面からの支援にとどめている。石油産業も過剰供給、過当競争の体質にあるが、供給過剰については、現在、エネルギー高度化法で設備処理に取り組んでおり、来年3月末で完了する予定で、今のところ競争力強化法を活用する動きはないようである。
 その他、中小企業の事業再生の支援強化、地域における創業支援体制の促進などに取り組むことになる。
 実施期間を5年間(当面3年で計画を作成、毎年見直し)と定めており、短期間での成果を見込んでいる。そのため政府全体で計画的に取り組むことになっており、実行すべき制度改革ごとに実施期限、担当大臣を決め、実行体制を確立する。
 この産業競争力強化法によって「デフレ脱脚と日本経済再生に向けた経済政策のパッケージ」のシナリオが完達する。円高は解消され、為替は80円/ドルから足元は98円と100円近くで推移している。株価も値上がりしており、経済指数も上昇している。今後の経済対策としては、消費増税実施に向け、年末には5兆円規模の経済対策を実施する。また、復興法人税の1年前倒し廃止(減税)、個人所得水準改善に向けた所得促進税制の改善などが実施となる。
 今後はTPP、日中韓FTAなどの通商交渉も正念場を迎えるが、最後の仕上げは、消費税の増税と、これに見合った賃金の増加となる。それにはまず「企業業績の改善」が前提となると産業界から要請されている。その結果、「投資の拡大」による業績の向上、「賃金の増加」による「消費の拡大」という経済の好循環を実現することが期待される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE