日刊ニュース

2013.10.25 のニュース

流通証明書添付で業転実態を解明-安値の出回りを抑える効果を期待-

 エネ庁は、ガソリンの業転安を解明するため、流通経路証明を添付する措置を元売に要請している。販売業者からは「HC、無印SSの販売価格は、系列仕切価格の同値か安いケースもあり、これでは同じ土俵で商売ができない」との反発が出ている。現にHCなどのガソリンの販売価格は145円/リットル(消費税込み)となっているが、系列仕切価格が140円とすると、これに消費税5%を加算して147円となり、仕切価格よりも安値で販売していることになる。仕切価格もサブ仕切(三者)となると、さらに高値となる。
 安値販売の背景には、差別対価か不当廉売が存在するのではないかと公取委に申告しているが、いずれもシロの判定となっている。一般の系列SSに比べて安値で販売できるのは、安値の業転を購入するか、数量割引き、現金決済などによる割引き策も見込まれるが、それにしても価格差が大きく、その取引内容の解明が求められている。元売に問えば、特別な安値では販売してない、出荷した後の玉の流れは把握できないとの回答となっているため、それならば流通(供給)ルートを明確にすべきであるとの要望が出ていた。
 流通経路証明は軽油の場合、軽油引取税(地方税)の脱税防止の目的で、納税者(納税義務者)を明確に把握するために流通経路(ルート)を添付することになっている。この制度を応用することになるが、目的は系列取引に関する理解の向上、透明性の確保、系列販売の強化に合わせて、非系列取引の透明性の確保をあげている。非系列取引き(無印SSなど)の透明性の確保が狙いとなるが、業転ルートを解明することで、いわゆる安値販売の実態が把握されることになる。ルートが解明されれば、取引の実態も分かることになり、その結果、供給元売名や、その後に介在する業者に対してプレッシャーをかける効果が期待されている。業転ルートは裏取引として陰に隠れたものとなっているが、ルートが明らかになることは、取引の健全化につながるとの理屈も成り立つ。
 商取引の上で、流通ルート、数量、価格(コスト)などを、どこまで明らかにすることが妥当であるかは問題となるが、石油という重要な商品であるため透明性が求められることになる。だが、取引上のコスト、ルートなどを明らかにすることが可能なのか、開示を拒否することも予想されるなど問題点は残る。
 一方、業転ルートが解明されても、業転玉の減少や、業転安が是正されるなどは別問題となる。仮に安値販売しているHCへ供給している元売名が判明しても、差別対価に該当するなどの事項が判明しなければ、当然問題はなく、それを理由に供給を抑えることはできない。流通経路証明を添付することで、安値販売が自粛されることを期待することになるが、効果のほどは不明である。
 現実には、系列外販売となる業転は約20%のシェアを占めており、元売の販売戦略に組み込まれている。各社間で違いもあるが、ルートは確立しており、系列SSでも業転を購入(主に現金買い)できる大手の特約店は安値の業転を活用しており、元売も容認しているふしもある。業転安で反発しているのは、業転を購入することができない中小業者であり、販売業者問でも温度差がある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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