2013.11.01 のニュース
ガソリンは減販で低迷が目立つLSC重油よりも安値に
灯油シーズン入りを前に「灯油高のガソリン安の体系となっているが、ガソリンはC重油よりも安値となっている。先物でみると灯油は8万円/キロリットル、ガソリンは7万6000円で推移しており、業転は灯油が8万円、ガソリンは7万7000円となっている。仕切価格は灯油、ガソリンは8万5000円を超えている。一方、LSC重油の10~12月の打ち出し価格は7万9680円であり、決着に至っていないが、ガソリンの先物、業転よりも高値どなっている。
9月の原油CIF平均価格は約6万9000円/キロリットルであり、石油石炭税2290円を加算すると7万1000円、精製費、販売管理費、マージンなどで1万円が必要とすると8万1000円となり、業転価格はコスト割れとなる。そのため業転の安値を系列仕切価格を値上げしてカバーすることになり、結果的には仕切価格が高値となる。販売業者からは「業転を値上げ、仕切価格を値下げして価格差を縮小すべきである」との意見が出て元売と販売業界が対立、今回の業転間題に発展している。
一方、電力向けのLSC重油の10~12月打ち出し価格(サイト30日)は7万9680円/キロリットル、HSC重油は7万3450円となっている。前期に比べると2000~3000円の値上げ要求となり、LSC重油は8万に迫る高値となっている。先物、業転の灯油・ガソリンに比べるとLSC重油の方が高値となる。
業転は足元の市況を反映するが、C重油の打ち出し価格はコスト変動であるため、その間にはタイムラグもあり単純に比較できないが、ガソリンは相対的に安値となっている。また、季節的な要因もあるが、灯油は10月頃から値上がりするため、ガソリン価格が据え置きとなっても灯油に比べて安値となる。
大口のC重油価格の値決めは、元売が安定供給を保障するが、同時にコストを保障する方式を昭和45年から採用している。10~12月のC重油打ち出し価格のコストをみると、生産品CIF価格の原油価格(南方物)114ドル/バーレル、為替が98円/ドル(対象コストは9-11月)と推定すると、円/キロリットル換算では7万1175円となる。これに石油石炭税の2290円、経費等約6000円を加算すると7万9489円となる。これに直脱品、国際価格を合成比率にもとづき算定すると、ほぼ同値の7万9680円となる。
このように大口C重油の場合はコストを積み上げた原価計算にもとづいて算出されており、フォーミュラが決まっているため打ち出し価格でほぼ決まる。変動がある場合でも、打ち出し時と決着時の間の原油価格や為替の変動によるコスト変動分にとどまる。だが、ガソリン・灯油などのマス商品は、コストの変動も加味されるが市場連動方式であるため、需給、各社の思惑、販売戦略に影響される。最近のようにガソリンは減販となっており、値下げしてでも増販を狙うと市況は値下がりすることになる。市況安定のためには需給の調整が重要となるが、予測以上の減販となると需給調整は難しい。
最近のガソリン在庫は190万キロリットル割れの低水準で推移しているが、業転市況の値上がりには至っていない。在庫は減少しているが、減販の影響もあってか供給面では問題もなく、下げ止めとなっている実態である。