日刊ニュース

2013.11.11 のニュース

メタンハイドレート開発で議論 平成30年度後半に民間主導で商業化

 総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会(分科会長は橘川一橋大学教授)は6日に初会合を開き、海洋基本法の改定(4月閣議決定)に基づき、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」(平成21年3月に10年計画策定)の見直し審議に入った。
 この計画は、我が国の海洋資源であるメタンハイドレート、石油・天然ガス、海底熱水鉱床、コバルト、マンガンの開発促進を図ることを目的にしているが、中間段階での評価、今後の目標や道筋、その目標達成のため施策・実行に際して、今後の予算措置などを検討するものである。年末に策定が予定されているエネルギー基本計画に織り込むため、年内にとりまとめることになっている。次回は19日の予定。
 石油開発業界と係わりのあるメタンハイドレート、石油・天然ガスの開発は、最近でこそ注目を集めているが、旧石油公団の廃止(2002年に廃止が決定)が問題となった時期には「商業化は難しく国の予算の無駄使いである」との批判が高まり計画は中断されていたが、JOGMECへの移行後、国内の資源開発の重要性が評価され計画が復活した。
 メタンハイドレートは、メタンガスが低温・高圧の状態で結晶化した氷状の物質で「燃える氷」と称されている。海域に賦存する場合表層型と砂層型に2分類される。氷状で存在するため資源量の把握と生産技術の開発が課題となっており、現在は減圧法でガス生産実験を実施している。減圧法はメタンハイドレートを地層中でメタンと水に分解し、メタンガスを回収する方法である。
 先行している砂層型のメタンハイドレート開発は、2001年から2018年までフレーズ3に分けて実施されており、2002年には、メタンハイドレート層から世界で初めてメタンガスを生産している。また、2013年には東部南海トラフでガス生産を確認しており、今年1~3月には愛知県沖で海上産出試験を実施、約2万立方メートル/日の生産を確認している。長期に安定した生産ができる技術開発が課題となるが、ガスを一度に大量に回収することができ、海上、陸上のタンクに集め、そこから消費地に送られることになれば、我が国は大産ガス国になるとの夢が実現する。
 今後の計画では、平成25~27年度までは今年実施した海洋試験の分析と技術課題の克服(出砂対策)、生産コストの削減、米国での陸上産出試験を実施する。さらに27年度頃には28年度以降の方向性・目標の再確認、見直しを行ない、28年~30年度は民間企業参入の仕組み作り、環境影響の実施、商業化に向けた整備を行なう。30年代後半に民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトが開始されるよう、国際情勢を睨みつつ技術開発を進めるとしている。
 表層型メタンハイドレートは、主に日本海側に存在が確認されており、25年度から資源量の把握に向けた広域調査を実施している。25年度は6~8月にかけて上越沖、能登半島西方沖で広域地質調査を実施、7月12日~30日には上越沖で細目調査を実施した。26年度には秋田・山形沖、壱岐周辺を調査、地質サンプル取得も実施、27年度は北海道周辺を実施する計画である。28年度以降は、今後の議論を踏まえて回収技術の研究・開発に着手する計画となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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