日刊ニュース

2013.11.12 のニュース

国内の石油・ガス開発で支援を審議 基礎試錐などを強化、見直し

 総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会は、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」の見直し審議に入った。日本周辺海域に存在する石油・天然ガス資源は、供給安定性から最も供給リスクの少ないエネルギー資源であり、国が支援策を強化して開発を加速させることになる。
 石油・ガス開発の重要性が見直しとなったことで、日本周辺海域の調査を実施することになり、平成20年には、エネ庁保有の探査船「資源」を導入した。探査能力を強化、開発活動を機動的に実施する方向を示すことになった。さらに、鉱業法の改正により、国内の資源を維持・管理するため、許可要件の先願主義を見直し、技術的能力、経理的基礎、社会的信用を有することを必要とする基準を新たに設けた。現在も国の支援による基礎調査(物理探査、基礎試錐)が実施されており、予算は平成25年度が172億円、26年度では155億円を要求している。
 過去の国内基礎調査は、国による5ヵ年計画で策定され、第1次5ヵ年計画(昭和30~36年度)から第8次5ヵ年計画(平成7~11年度)まで実施され、11年度で終えた。期間中に物理探査に伴い、毎年、陸上・海上での各1抗の基礎試錐が実施された。このように長期にわたって実施されてきたが、コストに対して成果が少ないなどの批判と、原油価格の下落による石油の位置付けが低下したことに加え、旧石油公団の廃止決定(平成14年)などの規制改革の影響を受けることになり、国の支援事業が中断、縮小した。
 平成12年以降は石油審議会国内石油・天然ガス基礎調査WGの検討を踏まえて、基礎調査実施検討委が設立され、民間探鉱の波及効果を勘案して年度毎に調査地点を選定して実施している。以前のように5ヵ年計画ではなく、その都度、単発での実施となり、縮小しての継続実施となっている。過去の基礎調査の成果としては、現在生産している代表的な勇払油ガス田(北海道)、岩船沖油ガス田(新潟)、南長岡ガス田(新潟)、片貝ガス田(新潟)などが、国の基礎試錐の成果が寄与したと評価されている。
 一方では、大水深海域で実施された直近の三陸沖、佐渡南西沖などでは開発規模の発見には至っていない。その他、数多くの基礎試錐では、発見に至らないケースも多く、国の予算の無駄使いとの批判も出ている。そもそも基礎試錐の対象の地点は、未探鉱の地点であり、民間企業ではリスクが大きいため国が実施するものであり、発見の確率が低いことは当然である。基礎試錐であるため、目的の地点まで掘削して、その地点の地質構造を調査、把握することが目的であり、発見できたか否かで判断すべきではない。だが、掘削結果の成功を期待するため、発見されないと失敗との声も出てくる。
 今回の佐渡南西沖も今年4月から7月にかけて試掘調査を実施した。オペレーターはJX日鉱日石開発となり、水深約1000m、海底面下2000mの大水深を「ちきゅう」を使用して堀削した。当初は中東の中型級油田の規模が見込まれるとの噂もあったが、結果的には「顕著な石油・ガスの徴候は確認できなかったが、目標の地層から微量の確認をした」との発表となっている。商業規模の発見は難しいのが実態である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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