2013.11.13 のニュース
新生・富士石油 中期計画策定 28年度の経常利益45億円~設備投資は110億円~
新生・富士石油は、平成26~28年度の3年間の中期計画を発表した。旧AOCホールディングスが旧富士石油を統合し、商号を富士石油に変更して、石油精製・販売の事業会社として10月に発足した。中期計画の前提条件は、原油価格(ドバイ)を100ドル/バーレル、為替は100円/ドルとして、収益目標は最終年度の28年度の営業利益(在庫影響を含まない)を75億円(25年度の見通し30億円)、経常利益を45億円(5億円)を見込んでいる。3年間を累計した純利益は120億円、減価償却は220億円とし、設備投
資は総額110億円を見込んでいる。設備投資は、中期計画期間内の省エネルギー、安全対策、操業維持を目的に実施する。中期計画での取り組み課題としては、①袖ヶ浦製油所の設備の最大活用、安全・安全操業の継続、高稼働を維持する、②製品の高付加価値化・更なるコスト削減により収益性の向上を図り、立地上優位な東京湾内に存在する製油所としてトップクラスのコスト競争力を維持する、③袖ヶ浦製油所の電力および用役コストの削減、原油のフレキシビリティーの拡大を図る、以上を掲げている。
平成25年度の上期決算は、袖ヶ浦製油所が5月~6月にかけて4年に一度の大規模定期修理を行なったため、原油処理減となり、石油製品、石油化学品が大幅な減販となったため66億円の経常損失、67億円の損失となったが、下期は高稼働率で対応、通期では営業利益を30億円、経常利益を5億円、純利益を6億円とする見通しとなっている。石油開発事業から撤退しており、石油精製専業として、袖ヶ浦製油所の設備を最大に活用し、高稼働を維持してコストの削減、高収益を狙うことになる。
今後の検討課題としては、袖ヶ浦製油所の最先端の生産装置であるユリカ装置(減圧残熱分解装置)から生産される石油ピッチを燃料とする自家用BTG(ボイラー・タービン・ジェネレーター)の導入に向けた検討を行なうことになった。製油所内の自家用ボイラーが改造時期にあり、これを機に石油ピッチを燃料として専用に使用できるよう開発することを目的にエンジニアリング会社を検討することになる。ユリカ装置から生産される石油ピッチは鉄鋼工場(新日鉄住金)にコークスの原料として供給しているが、新しい
燃焼方式を開発して自家用燃料として利用することで、高付加価値を図ることが可能となる。この技術が実用化され他の分野で利用できることになれば、石油ピッチの消費拡大が期待され業績拡大に繋がることになる。
さらに、石油ピッチを燃料とする売電事業への進出、新規化成品事業の展開、水素社会に向けた事業など、袖ヶ浦製廸所の事業基盤を活用した新事業に関する情報収集、経済性、競争力評価を行なう。