日刊ニュース

2013.11.15 のニュース

-JXエネ21世紀のエネルギーを考えるシンポジウム-エネルギーセキュリティを討論 再生可能エネルギーの可能性 コスト、送電網の整備が課題

 JX日鉱日石エネルギーは12日、第18回「21世紀のエネルギーを考えるシンポジウム」を東京国際フォーラムで開催した。
 「どう高める日本のエネルギーセキュリティ~安定供給と有効利用を考える~」をテーマにパネルディスカッションが行なわれ、パネリストには池田道雄(JX取締役副社長執行役員)、上田隆之(経済産業省資源エネルギー庁長官)、橘川武郎(一橋大学大学院商学研究科教授)、三村申吾(青森県知事)、宮田敬子(宮城県在住フリーアナウンサー)、コーディネーターには室山哲也、(NHK解説委員)が出席した。
 主催者を代表して木村康・JX日鉱日石エネルギー会長は「現在、政府がエネルギー基本計画の見直しを行なっている。これまでのエネルギー基本政策は、安定供給、経済性、環境の3Eの実現であったが、東日本大震災を教訓に安全性(Safety)のSを加えたS+3Eの最適化が求められている。エネルギーは経済活動の基盤であるが、我が国の自給率は4%に過ぎず、大半を海外の輸入に依存している。資源の乏しい我が国が安定的かつ持続的にエネルギーセキュリティを高めることは容易ではない。従来同様、化石燃料の安定調達、効率的利用が重要であるが、加えて自給率の引き上げには、太陽光、風力という再生可能エネルギーや新たな国産エネルギーの開発が不可欠である。そのためには、官民協力した技術開発、規制緩和が必要である。また、太陽光、風力発電の拡大に際しては、出力対策として石油火力などのバックアップ電源の確保が必要である。さらに、災害に強い石油の自立型エネルギーシステムの構築が求められている。今回は国、自治体、消費者の役割、課題などについて議論して欲しい」と挨拶した。
パネルディスカッションでは、主に再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱発電など)の開発、導入、長期的には水素エネルギーの開発などの課題、国の支援策、これに伴うバック電源の確保策などについて議論した。
 太陽光発電は、固定価格買取制度という助成策で実施され普及しているが、今後の技術開発、規制緩和、コストの削減が問題となる。また、コストの負担は、最終的には電気料金として消費者となるため、経済性が問われることになる。
 風力発電も普及が見込まれるが、設置場所が問題であり、北海道、東北地方に限定される。洋上発電も実証実験となっているが、発電しても送電網が完備しなければ、実用化は難しくコスト高となる。また、蓄電池の開発などの問題も残る。地熱発電は石油開発会
社などが取り組んでいるが、開発可能地域は国立・国定公園内にあり、自然公園法の規制を受けることに加え、温泉業者の反対も多い。開発にも10~20年とリードタイムが長く、採算面からも問題があるた今後の対応にかかっている。ドイツでは再生可能エネルギーが導入されたが、買取制にあたり、電気料金の値上がりで破綻したケースもあり、コストの削減とコスト負担のあり方が今後の問題点として残る。
 最後に、長期となる水素エネルギーについて上田・エネ庁長官は「電力と同様、2次エネルギーとして位置づけて開発、導入に力を入れている。家庭用燃電池(エネファーム)として世界で初めて市販もされている。また、水素ステーションの設置、地域単位の集合住宅などで運用するスマートコミュニティなども実証段階にある。現状では、どのエネルギーがベストであるかは、実証の段階であり、供給者と消費者、双方の立場で良く検討すべきである」と述べた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE