2013.11.27 のニュース
灯油低在庫でシーズン入り安値販売なく市況は堅調推移
11月下旬となり灯油シーズン入りとなった。石連週報でみると在庫(16日時点)は310万キロリットル、前週に比べ14万キロリットルの取り崩しとなってきた。在庫水準はほぼ前年並みとなっており、供給面では問題はないが低位でシーズンに入っている。
今後は販売動向をみながら増産、減産で機動的に対応するが、予想以上の増販となれば、緊急輸入での対応もあり、在庫増を避けてのシーズン入りとなる。そのためシーズン入りに際して安値販売でシェアを確保する動きはなく、SS店頭でも目玉商品として安売りするケースは姿を消しており市況は堅調である。
ガソリンは下落しているが、灯油は冬場でマージンを確保する商品であるとの認識が高まっており、冬場はガソリンよりも高値という体系が定着している。「灯油高のガソリン安」の体系となっており、元売、販売業者とも冬場の灯油で利益を確保する戦略が浸透している。
元売もガソリンのマージン幅は低下しているが、灯油販売で利益を確保することで下期の増益を見込んでいる。元売の上期決算では、在庫評価益を除くと実質赤字である。下期では上期の赤字を解消して、通期では黒字とすることを狙っているが、そのポイントは灯油の増販、増益となる。それだけに灯油販売が暖冬で不振となり、市況が下落するという、思惑とは逆の展開となると赤字が拡大するため、各社とも灯油商戦には慎重な対応をみせている。そのためシーズン入りに際して低在庫で臨んでおり、順調な出足となっている。
すでに北海道、東北地方では冷え込んでおり、今後は関東以西の本格的な冷え込みに期待することになる。10月販売は前年比では増販となったが、11月は前年の販売が202万キロリットルで23%増の大幅な増販となったため、その反動で上旬はマイナスとなっているが、今後の増売に期待をかけている。灯油販売は天候次第であるが12月販売が1年間でピークとなるため、ここがポイントとなる。昨年12月販売は338万キロリットル(前年比で4・7%増)となっているが、これをオーバーするか否かが今後の灯油商戦に大きく影響する。今年1月は329万キロリットル(1・3%増)の販売となっている。
今のところ順調にシーズン入りとなっているが、関東以西に本格的な寒波が到来するかにかかっている。販売の基調は、電気・ガスヘの転換で減販が続くことになるが、冷え込みが早まれば増販が見込まれる。東日本大震災を機に灯油の暖房が見直しされているが、SS店頭での販売価格が100円/リットル(18リットルで1800円)、配達では110円以上(2000円以上)と高値となっており、ユーザーの節約志向も高まっているため増販は難しい状況である。
そこで、石油業界では灯油の需要開拓のためキャンペーンを展開している。灯油ストーブの増販、高効率家庭用給湯機「エJフィール」の販売促進、石油セントラル暖房システム「ホット住まいる」の販売などを実施しているが、需要の回復は難しい。
それでも寒波が続けば、増販が見込まれる。だが、SSの過疎化現象で冬場の石油製品の安定供給が課題となっており、石油連盟の新提言でも「消費者への安定供給確保のため、社会政策からも取組みが必要である」としている。