2013.11.29 のニュース
ガソリン安の異常な状況が続く-業転価格はC重油よりも安値に-
ガソリン安が目立っている。東商取の先物市況でみるとガソリンは75円/リットル、灯油が83円、軽油が84円、原油が67円程度で推移している。ガソリンと原油との価格差は8円となっている。業転はガソリンが75円、灯油が82円となっている。仕切価格はガソリンは82円、灯油は87円程度となっている。
例年、灯油の需要期に入るとこのような「灯油高のガソリン安」の体系に逆転するが、それにしてもガソリンと灯油、軽油との価格差が拡大している。軽油は海外高に連動して国内価格が値上がりしており、輸出も好調である。また、大口向け10~12月分のLSC重油打ち出し価格は79円となっているが、ガソリンの業転75円はC重油よりも安値となる。コストの対象が9~11月の想定となっており、時間的なズレもあるが、ガソリンがC重油よりも安値という異常な状況になっている。
コスト面でみると原油CIF価格は10月が70円、これに石油税2円29銭を加算すると72円強となり、原油価格とは、僅かの差であり、これでは元売は精製費、販売管理費(ブランド料4円など)を回収できず、完全な赤字となる。元売のマージンは最低でも10円は必要とすると82円となり、ガソリンの系列仕切価格は82円となっているため、マージンは確保できているが、業転は赤字となるため、元売の業績は厳しい状況にある。「コストを割って業転玉を放出するのは問題である」と系列業者から反発が出ている実態である。だが、これから原油CIF価格が値下がりするため、元売のマージンは回復が見込まれる。
一方、販売業者は、ガソリン市況の下落で経営が厳しくなっており、これから市況の立て直しに取り組むが、業転が値上がりしないと、不発に終わることも懸念される。下げ過ぎ分を回収する値戻し値上げとなるため、業転が下げ止めから値上に転じないと末端市況を値上げることは難しい。結局、業転問題に戻ることになる。ガソリンの業転と系列仕切との価格差の縮小を求める声が高まり、業転の値上げを巡って、販売業界(全石連)と元売とは対立関係にあるが、現状では、双方の価格差が拡大する傾向をみせている。
業転問題は、自民党石油流通議連を巻き込んで審議しているが、調整には時間がかかりそうである。完全に調整がつく問題ではなく、妥協案が出るか否か今後の課題となっている。この問題は元売がエネ庁の通達を受け入れることで収拾するかにみえたが、業転の取扱いを認めるルールの策定や、実際に業転が値上がり仕切価格との価格差是正が実証されることは難しく、調整は困難になっている。価格差拡大の要因は①ガソリンの供給増による元売の業転市場への売り込みが強い、②販売減少の傾向にあり、依然として元売のシェア競争が展開されている、③元売の仕切価格の改定でバラツキが生じており不透明である、などの点が指摘されている。
現状では需給も締まり、ガソリン在庫は190万キロリットルを割る低水準となっているが、業転は値上がりせず低迷している。低在庫であっても、元売の売り攻勢が強いのと、各社の思惑、見通しの違いもあって足並みが揃わないため、業転の値上がりが難しい状況となっている。