2013.12.03 のニュース
現行の価格体系の見直しも-業転問題も絡み変則的な動き-
ガソリンの仕切価格を巡っては、10月中旬には値戻し値上げ、さらには一括した調整値下げなど、現行の週決めによる市場連動制の仕切価格改定とは違った、変則的な動きが出てきた。さらには業転との価格差問題、ブランド料の引き下げも実施されており、価格体系の見直しの時期にきているとの見方も出ている。
週決め制は2008年10月から実施となったが、その後は、数回見直しが行なわれ、今日におよんでおり、今回は業転との価格差問題が絡んでいるため、現行方式では限界となり、見直しが必要となってきた。
現在、ガソリン仕切価格と業転価格との価格差縮小について議論に入っているが、逆に価格差が拡大するなど混迷が続きそうである。元売、販売業者の双方が満足する解決策は難しいが、自民党石油流通議連が5日に役員会を開き、公取委、エネ庁から報告を受けることになっている。価格差について幾らが妥当であるか数字で表すこともできず、自由化時代に業転を規制することも不可能であるため、指針を示すことも難しい。流通経路証明の添付という制度設計も検討しているが、その効果には疑問点も多い。法規制の声もあるが、実現するかは未知数である。
現状、減販の影響により業転玉が増加して値下がりしているが、業転を値上げするには、需給を締めることで業転玉の出回りを少なくすることが原則となる。だが、ガソリンの場合、減産して需給を絞っても業転玉が不足するまでに至らない。製油所の事故、中東情勢不安などで原油の供給途絶などが発生すれば、供給不足が深刻化して業転は値上がりするが、平時では在庫が減少しても業転玉が不足になることはない。通常では供給が不足することはないという安心感を販売業者、ユーザーは持っており、現に業転玉が不足した例はない。需給をタイトにしても、業転ルートの玉は確保されており、業転がなくなることはない。供給が不足気味になれば業転も値上がりするが、仕切価格も同様に値上がりすることになり、その価格差が保たれることになる。
東日本大震災の時は、系列SSに5%の供給カットが実施されたが、業転ルートには供給が潤沢で、平穏にSSを運営していたとのケースもあり、業転ルートは安定している。それだけ確立されている業転ルートにしても、業転玉は販売していないという元売もあり、問題解決には程遠い状況にある。
市況は需給で決まるのが原則であるが、各社の思惑、原油価格の見通し、生産対応、販売方針など、様々な要因が絡むため、各社の足並みが揃わないと業転を値上げすることは難しい。さらに原油価格も需給で決まらず、先物という金融市場で決まるのと、為替もアベノミクス効果で最近は円安に動くなど見通しを一段と難しくしており、コストの変動が激しく対応にバラツキが生じる。
現行の週決めは、直近の原油、業転を参考に市場連動制を継続して実施しているが、その都度、完全な値取りをすることは難しく、未達分が残る。そのため、一定期間を経過した段階で、値下げ分を回収する値戻し値上げが必要となる。その意味では、週決め制も直近のコスト変動分のみでなく、総合的な判断に基づく、機動的な対応が求められている。