日刊ニュース

2013.12.10 のニュース

年末商戦で元売の足並み揃う-業者、増益で経営安定化を狙う-

 ガソリン販売は、いよいよ年末商戦に入る。販売業者は増販、増益を狙うが、元売サイドは12月期決算会社もあり、決算月での利益確保を見込むなど、元売各社の思惑が一致することで足並みが揃う方向となってきた。
 今年はアベノミクス効果で景気回復によりガソリンの増販が期待されている。年末年始の休みも28日から明年1月5日までの9日間となり、帰省、レジャーに車の利用が見込まれるため、街道沿いSSは増販を狙う。都心部のSSは、この間、会社が休みとなり、休業するため減販となる。だが、好天気が続けば全体でみると増販が見込まれる。
 12月に入り、ガソリンの仕切価格は値上がり、末端市況も値上がりとなるとユーザーの節約も心配される。だが、当面は150円/リットル台相場で推移することになり、すでに160円相場をユーザーは経験しているため、値上がりによる節約の可能性は薄れている。
 とくに景気の回復基調のもと、年末年始では個人消費も増加傾向にあるためガソリンでの増収、増益が期待されそうである。ガソリンは夏場の160円相場から10月に入って下落、ここにきて150円割れとなったが、これから155~157円相場が形成されるものとみられる。今回はこれまでの下落分の回収と仕切価格の値上げで、大幅な値上がりとなる。
 販売業者は市況下落によりマージンが減少しており、SS経営が一段と難しくなっているため、年末年始の商戦を機に安値の底上げ増益を狙う方向で、ようやく足並みが揃ってきた。価格競争がエスカレートしている最中では、幾らテコ入れをしても効果は出ないが、コスト割れが長く続くと危機感も強くなるため安値底上げの気運が出てきた。
 元売サイドでは、低在庫でも業転玉が出回る状況が続き、全石連からは業転と系列仕切との価格差問題を取り上げられている。業転問題は商取引の問題であり、ハッキリした解決策を見つけることは難しく、妥協案を模索するにしても調整には時間かかかる。解決策としてブランド料の引き下げ問題も出たが、これも仕切価格が変動する時期と重なっているためそのタイミングが難しく、JXが引き下げを打ち出したが、他社は様子を見ることになった。ブランド料の存在を否定している元売もあるため、簡単にブランド料の引き下げで解決することにはならない。  一方、議論している最中に原油価格の値上がり、円安によるJスト増で値上げ局面となってきたため、元売も仕切価格の値上げを実施、値取りを狙うこととなった。そのため業転の値上げに取り組むことになり、外販価格の値上げを先行させるなど、状況が変化してきた。市況は毎日変化しているため足元の対策が優先することになり、その流れの中で明確な方針を策定するのは難しい。それよりも足元の市況形成、コストの変動を転嫁するための仕切価格の改定が重要となってくる。
 元売サイドの12月期決算の企業は、12月で増益を計上して好決算で締めたいという意向から、大幅値上げを打ち出している。他の元売も12月で増販、増益を狙うことで思惑が一致しており、ようやく足並みが揃ってきたようである。

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