日刊ニュース

2013.12.13 のニュース

エネ計画 異例となる価格差問題の指摘-業転問題を反映して明記-

 エネルギー基本計画(案)がまとまった。13日に開かれる最後の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で最終とりまとめを行ない、明年1月に閣議決定される。
 今回のエネルギー基本計画は、自民党に政権交代したため、前回の民主党時代に策定したエネルギー基本計画をゼロベースで見直しすることになり議論を開始、12回目の開催で計画(案)をとりまとめたもの。スタート時から安倍政権の方針として「原発は安全規制委が認めたものを再稼働させる」と原発容認の方針を明確に打ち出しており、原発依存度などエネルギー・ミックスの数値は示さないことになっているため、その枠内で議論を進めていた。その結果、焦点となる原発の位置付けは①エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベース電源である、②原発依存度は可能な限り低減させる、③安全性が確認された原発は再稼働を進める、との方向性を打ち出している。
 各エネルギー供給を優先する基本方針が貫かれており、石油業界の要望がほぼ織り込まれている。すでに次年度の予算要求にも反映されている点で評価されている。その中で石油の流通問題として「公平かつ透明な石油製品取引き構造の確立」との項目を掲げて、石油業界(元売、販売業界)内部の取引き問題が明記されている。審議会報告の中に、個別業界の流通問題が書き込まれることは、珍しいことであり、現在、議論されている業転問題が反映されたことになる。
 販売業界(全石連)の活動が成果をあげたことになり、これを機に、業転問題が解決して、公平な取引きが確立されることが望ましいが、あくまでも商取引の問題であるため、当事者間での話し合いでの決着となる。この記載により問題点が提起されたことで、業転問題が解決するきっかけになることが望ましい。その一助となるのか否かは今後の課題となるが、自由化の時代にエネ庁、公取委の行政介入が、どこまで行なわれるかもカギとなる。
 明記された公平かつ透明な石油製品取引きの確立については「石油製品は、品質の差別化が難しいため競争は価格面に集中する。このため卸価格の格差がSSの競争基盤に大きな彫響を及ぼすことになるが、卸価格の価格差や価格決定の不透明さが指摘されている」と現状を認識している。こうした中で「一般的に取引上優越した立場にある元売が、正常な商慣行に照らして不当な価格差を付し、不利な取引き条件をSS業者に押し付けるなどの独禁法に違反する事案に接した場合は厳正な措置が必要である」と元売を牽制する表現となっている。
 現在、議論となっている業転と系列仕切との価格差問題を取り上げているもので「価格差や価格決定方法の不透明性、競争上不利な取引き条件が課せられているおそれがあるSS業者の存在が指摘されている」と格差を認めている。この価格差が合理的な説明がつくものか否かは難しいところであり、元売に対し独禁法の違反行為を厳しくチェックするとしているが、これは当然の措置である。しかし、これまでも違反に該当する事例は出ていない。いずれも流通問題に深く踏み込んだものとなっているが、今後、新しい秩序が形成されるかは様子を見ることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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