2014.01.15 のニュース
設備処理で業転値上がり期待-格差是正で新価格体系も検討ヘ-
ガソリンの業転問題解決の第一歩として、流通(供給)証明書の添付のガイドラインが決まり運用となるが、これで業転問題の幕引きとはならず、残った問題としては①業転と仕切価格との価格差の縮小、②一定の業転ルールの策定、などを引き続き検討することになる。
流通証明書は、エネ庁通達でも「年末までに実施を検討する」としていたものである。軽油取引税(地方税)の脱税防止策として供給証明書の添付が実施されており、これを参考にしたものとなっている。
業転との価格差問題の是正、業転ルールの策定が課題として残っているが、調整するには時間がかかるのと、決め手となる対策は難しい。業転問題の本質である業転と系列仕切との価格差の是正であるが、これが解決できないとなれば、業転の購入を自由にすべきとの要求が全石連から出ている。しかし、自由化が進展しているため、行政指導で業転をコントロールすることは不可能である。結果的には各社の需給取り組み、販売方針に委ねられる。
需給面からみると、常に供給増となるため、余剰玉が業転市場に流れることになる。各社が販売に見合った生産を行なえば、業転玉は出回らないことになるが、実態は販売計画よりも実需が落ち込んだなどの影響で供給増となり、業転玉が増加している。業転の定義にもよるが、いわゆる系列外の販売は20%を占めるとの見方もあり供給増となっている。これは設備過剰に起因するものだが、高度化法による設備処理が3月末で実施されるため、約100万バーレル/日のトッパーが廃棄されることで、その後の需給はバランスすることが期待されている。
設備処理によってガソリンの需給はタイトになり、業転玉が減少するため価格差が是正されるとの見通しを強めている。ただ、原油処理は減少するが2次装置は増強となっており、ガソリンは増産されるため需給は締まらないとの見方もあり、ガソリン需給がタイトになりマージン増となるのか否かは今後の動向次第となってくる。タイミング的には設備廃棄で減産対応となるため、需給調整の成果が期待される。
業転玉の出回りが減少すれば、業転は値上がりすることになり、仕切価格との価格差が是正されることになる。そうなれば業転問題は解決の方向となるが、簡単に価格差が是正されるか否かは様子待ちとなる。
現在のガソリン在庫は190万キロリットル程度の低水準で推移しているが、市況には反映されていない。市況は需給で決まることが経済原則であるが、需給は締まっていても市況は低迷している。石油は安定供給の確保が大前提となっており、供給が不足することがないとの安心感が定着しているため、需給を締めて値上げする方策にも限界がある。そのため、業転との価格差是正を狙った新しい価格体系も検討されている。
また、業転のルールづくりとなるが、元売は業転の購入を認めることは系列販売を否定することになるため、簡単に譲ることはないとみられる。業転を取り扱っても直ちに取引の停止はしないことにしているが、契約に織り込むことは難しい。販売業者も供給ルートの解明で一応の決着とみるのか、まだ延長戦とみるのかは今後の議論となる。