2014.01.17 のニュース
エネ基本計画の決定が遅れる-原発問題が都知事選の争点に-
エネルギー基本計画は、1月末にも閣議決定を見込んでいたが、遅れる見通しとなった。東京都知事選とも絡んできたようである。昨年12月には総合資源エネ調・基本政策分科会で計画(案)をまとめており、パブリックコメントを求めているが、ほぼ原案通りで閣議決定となる予定であったもの。茂木経産大臣は「パブリックコメントが1万9000件におよんでおり、その分析など慎重に検討することになる。再生可能エネルギーについては積極的に表現したい」と語っている。
計画(案)での原発の位置づけは①基幹となる重要なベース電源である、②原発依存度を限りなく低減させる、③新規規制基準の下で安全が確認された原発は再稼働を認める、④使用済みの核燃料は現世代の責任者としてその対策を進める、としているものである。
具体策となると「重要なベース電源」とは、ある程度の電源として認めることになり、本来は構成比が求められるが、今回は当初から数値は示さないことにしている。それでも原発推進の方向が示されているため、理論的に詰めると問題点も出てくる。また、「限りなく低減する」についても、いつまでに、どの程度なのかハッキリと数値を示すことが難しいため避けている。このような表現であるため、強弱の表現の修正は予想されるが、大筋の変更はないとみられる。
しかし今回、閣議決定を前にして、議論が再燃したのは、2月の東京知事選挙を前に14日には、細川・元総理が出馬を決め、その政策に「脱原発」(原発ゼロ)を掲げ、これに小泉・元総理が全面的に応援することになり、一気に原発問題が争点となってきたことも影響したようである。
都知事選の争点として原発問題が取り上げられるのは、東京電力の株式を東京都が保有していることもあり、東電に対しての発言権の行使も可能となるためで、国のエネルギー政策に対して影響を及ぼす可能性があるためである。
ただ、細川・元総理が原発問題を争点として都知事選に出馬するからには、即原発ゼロの方針が実施できるのか、いつまで原発をゼロにするのか現実的な方針が求められる。小泉・元総理は「原発ゼロでも発展できるとみるか、原発がないと発展できないとするかの対立である」と対立軸を鮮明にして選挙を戦う姿勢を打ち出している。
こうした状況に対し、政府・自民党も原発問題について急いで基本計画を決めることはなく、慎重な対応を狙ったものとみられる。細川・小泉連合で脱原発を打ち出せば、ブームを呼ぶことも十分予想されるため、自民党としても選挙対策として対応が求められることになった。
原発問題は都知事選のテーマにはならないとの見方もあるが、選挙は水物であり、短期決戦であるため何が起きるかは予想できない。エネルギー政策、原発問題は国が決定する問題であり、東京という地方自治体が扱う問題にできないとの意見もでるなか、原発が都知事選の争点となることは必至の状況となってきた。