2014.01.23 のニュース
議員立法を歓迎するが-実現には時間がかかる-
ガソリンの業転問題で自民党流通問題議連が議員立法で対応するとの方針を明らかにしたが、木村石油連盟会長は「内容が明らかにされていないが、需給が適正化され、公正な競争関係が保たれ、一定のルールの中で元売、販売のできる環境が形成されることになれば歓迎する」と述べている。
議員立法については、17日に開催された全石連の新年会で、野田税制調査会長(流通議連会長)が明らかにしたもので、次いで高市政策調査会長も「自民党で検討して総務会にはかり、公明党と共同で成立を狙う」と挨拶した。新年会での挨拶であるためお祝いの意味もあるが、自民党執行部の発言であり、実現性が高いと販売業界では受け止めている。
業転と系列仕切との価格差是正問題の解決策の第一歩として、昨年末に流通証明書を添付するとのガイドラインが石連と全石連の共同で決まり、3月ごろから運用となる。流通ルートを明確にすることで、安値の業転を減少させる狙いがある。残った問題としては①業転と系列仕切の価格差の縮小と、②一定の業転ルールの策定となるが、これらの問題の解決が難航しているため、法律(議員立法)で対応することになったものである。流通議連の中間報告でも、解決が遅れる場合は議員立法の策定を示唆していた。
議員立法となれば、まずは自民党での検討となるが、実際の作業となると法律の専門的な知識が必要となる。また、経産省が事務局として法制局などと調整を行ない、法案を作成して、与党の了解を得て国会で成立することになる。議員立法は、行政当局では成案が難しいとみられた場合に、国会議員が自ら法案を作成して成立させるケースであるが、これまでに成立した数は少ない。
エネルギー基本法も自民党による議員立法である。当時は自由化の流れの状況にあり、石油業法などの規制廃止となり、これに代わり環境対策、コストの安価な原発を推進するために議員立法でエネルギー基本法が成立、施行となった実例である。原発の推進は難しいが、当時は国民の関心が薄く、新設計両を織り込んで成立させた。しかし、東日本大震災を機に原発問題が表面化したため、基本法に基づくエネルギー基本計画の見直しが必要となり、脱原発か原発推進かで議論が展開されている。
このように時代の流れを反映して議員立法の動きが出てきたことになるが、公正な商取引を目的とした法律を議員立法として国会で成立するには、かなりの時間がかかる。議員立法といっても、法律としては独禁法などとの整合性が求められるため、実際の調整作業は事務局となる経産省が行なうことになる。また、これから行政指導ベースで実施となる流通証明書の成果なども問われることになる。
法律の中身は不明であるが、公正な商取引が形成され、業転との価格差問題が解消されることになれば、販売業者は歓迎する。だが、法規制によって業転玉が減少して過当競争がなくなるのかは疑問視する向きも多い。一方、行き過ぎた自由化には見直しが必要であるとの意見も強まっている。SSの減少で過疎化問題が発生、サプライチェーンの維持・強化が求められているため、法規制を求める意見は多くなっている。