日刊ニュース

2014.01.30 のニュース

貿易赤字に見る石油高の痛み

 2013年の貿易赤字は11兆4745億円と過去最大となり、12年の6兆9410億円、11年の2兆4927億円に続いて3年連続の赤字となった。東日本大震災以降の原発の稼働停止、これを補うための火力発電のためのLNGなど燃料の輸入増が主因として挙げられており、13年はここに大幅円安が加わって、赤字額が跳ね上がった。
 国富のものさしは貿易収支ばかりではないが、輸入原材料に加工や意匠を加えて製品輸出することで外貨を稼ぐ、という日本の構図で、稼いだ外貨よりも原材料費の支払いのほうが大きくなったという事実は、そのまま国富の流出を意味する。貿易赤字の3年間の累計は20兆9082億円となる。国民一人当たりでは16万3350円だ。
 貿易赤字拡大の一方の戦犯である為替は、TTSを例にとると、実は11年80・84円、12年80・50円、13年98・65円で推移している。12年は、為替要因というよりも燃料輸入量の増大による赤字拡大であり、過去最大に達した13年の赤字の主因は円安という概況が浮上するが、それでも105円前後という為替の近況からすれば円高であるという事実がある。無為に過ごせば、14年の過去最大の赤字記録更新は必然となる。
 もう一つの戦犯と名指しされた燃料は、数量面では、12年こそLNGと重油という火力向け燃料の増加は見られたが、火力向け需要が一巡した13年の重油は減少に転じただろう。価格面でも、中東産原油指標のドル建てでは11年106㌦、12年109㌦、13年106㌦平均と、イランやシリア問題など地政学的なリスクに警鐘が鳴らされ続けている割に、年にならしてみれば平穏に推移している。価格問題は為替問題という一言で片付けられる。
 原油・粗油と石油製品の輸入額の合計は、11年が12・6兆円、12年が14・7兆円、そして13年は16・9兆円となった。一人当たりでは11年9・8万円、12年11・5万円、13年13・2万円だ。大震災影響がない10年は総額11兆円、一人当たり8・6万円だったから、13年は10年比で53%増、一人当たり4・6万円も多い石油のコスト負担増にさらされている。ガソリンと灯油が必需の家計の悲鳴が聞こえてくる。
 ところがこの間に石油は小幅増税が1度課せられ、さらにこの4月からは消費税と石油石炭税のダブル増税が控える。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE