2014.03.14 のニュース
石油の位置付け、最後の砦の役割-大震災の経緯から「石油の力。」を訴え-
東日本大震災から3年を迎えた。石油連盟は10日、シンポジウム「石油の力。~安定的に石油製品をお届けするため~」を消費者を招き開催、石油業界の取り組みを訴え、理解を求めた。
木村会長は「東日本大震災で果たした石油の役割を思い出してもらいたい。我々は石油の安定供給のために、需要が減少する状況下でサプライチェーンの維持・強化に努めている。我々の努力のみでなく消費者の皆さんにも『石油の力』を正しく理解して欲しい」と挨拶した。
「石油の力。」は、石油連盟がスローガンとして採用しているもので、震災時に発揮した最後の砦としての石油の底力、重要なエネルギー源との位置付けを訴えている。
震災直後は、津波、火災の影響で製油所が操業停止、東北地方のSSは被害を受けて営業を停止、ガソリン販売供給量が制限されるなど混乱した。ガソリンの供給を巡っては、一部ではローリー、SSが襲撃され、警察が警備にあたる状況となった。
災害時に一番求められたのはガソリンと灯油であり、その次が食料とされた。とくにガソリンを求めてSSには車が長蛇の列となり、給油も数量制限となるなど混乱した。被害地では仮設の簡易SSが設置されるなど、石油業界が安定供給のために果たした努力は評価されている。
電気、ガスが止まり、復旧にも時間がかかったが、石油、LPGは分散型で持ち運びができ、道路網が整備されれば供給が可能となる。LPGは、常時、各家庭で軒下在庫としてボンベを2本保管しており、この在庫が大震災時に活用できたことが幸いしたことになる。軒下在庫は、本来、流通合理化の一環として実施されたものであるが、災害時に効果が発揮された。
また、災害を機に備蓄法が改正された。国家備蓄の放出は海外からの供給途絶が条件となっていたが、今回は国内の災害時でも放出が可能となった。LPGの場合は国家備蓄も、即製品として使用ができるため、国備がそのまま放出されて供給された。石油の国家備蓄は、原則、原油であるが、使用までには精製など時間がかかるため、石油製品の国家備蓄を増強することになっている。その他、震災を機に予算措置として、製油所、油槽所の強靭化計画、災害に強い中核SSの設置などが講じられている。
災害を機にエネルギー基本計画の見直しが行なわれたが、石油は「重要なエネルギー源である」と位置づけられた上で、災害時における最後の砦として製油所からSSまでのサプライチェーンの維持・強化、供給を行なうためのBCPの策定などが求められている。しかしながら、石油業界の実態は需要が減退傾向で、ピーク時に比べれば約20%の減少となっており、今後も減少が見込まれることから、高度化法で設備処理が行なわれている。4月には約400万バーレル/日に削減される。さらに大臣告示の改定により、第二弾の設備処理の実施策が検討されている。
流通段階では、SSの減少が深刻化しており、過疎化対策が課題となっている。公正な取引を巡っては業転と系列仕切との価格差問題が表面化し、全石連が議員立法で対応、秩序化をめぐる調整が長引きそうであるなど、問題は山積している。