2014.03.24 のニュース
原油は100台の高値で推移-流動的であるが安定を見込む-
足元の原油価格はWTIが98~99ドル/バーレル、ブレントは108~109ドルと10ドルの価格差で推移している。ドバイは、その中間の104ドル程度で推移して5ドルの差となっており、価格差を保っている。ロシアによるウクライナへの軍事介入で米国、EUとロシアが対立したため、原油価格は3ドル程度急騰した。そのため元売は仕切価格を3週連続で値上げしており、現在、ユーザー転嫁の最中である。原油価格は、やや値下がり傾向をみせているが、当面は、3月仕切価格値上げの完達を狙うことになる。
今後の原油価格の動向が注目されるが、指標はWTIからブレントに代わってきた。WTIはアメリカ国内の石油需給、経済指標などを反映した国内市況であり、ブレントとの価格差が20ドルと拡大したことから世界の指標として通用しなくなった。その結果、ブレントが、中東、アフリカの地政学的リスクなど世界の情勢を反映した市況となっていることから、指標として導入されている。
WTIも集積地クッシングからパイプラインが敷設され流動性が高まり、ブレントとの価格差が縮小されてきた。しかし、まだブレントとは約10ドルの価格差が存在しており、アメリカ国内の雇用・経済指標、原油・石油在庫、他の商品相場などの影響を受けて市況が税成されている。
いずれにしても、原油価格は先物市況で形成されているため、石油の需給とは別に金融商品としての値動きをすることになる。石油需給からみると、世界の石油需要は微増から頭打ちとなる。
一方、供給面では、非OPECのカナダ、ブラジル、カザフスタンが増産となり、アメリカもシェールガス・オイルの増産により輸入国から輸出国に転じる。シェールガスの増産、輸出、随伴のLPGは、すでに日本にも輸入されるなど、新しい体制に移行することになった。値決め方式も、今までのサウジのCP一辺倒から、これに変わって新たな値決め方式が採用されそうである。ガスの増産、供給増からガス価格が急落、これに連動して原油価格は下落するとの見通しもある。また、OPEC内ではイラン、イラクの増産も見込まれ需給が緩和することから80ドルへの下落説も出ている。
14年の原油価格の見通しは、JXの国際パネルではブレントで100~110ドル、エネ研では105ドルの十一10ドル、出光では100~120ドルと見ている。13年の平均はブレントが108ドル、WTIが98ドル、ドバイが105ドルとなっている。
曰本の輸入原油価格はドバイに連動しているため、100ドル相場の高止まりとなっている。原油CIF価格をみると、昨年12月は112ドル、為替が102円で円/キロリットル換算では7万1910円となり、前月に比べ2190円の値上がり、今年1月は原油CIF価格が113ドル、為替が105円で7万4600円となり、前月比で2690円の値上がりとなった。原油価格は、リットル換算では約75円の高値であり、これに石油税2円25銭を加算すると77円となる。一方、ガソリンの業転が80円とすると、その差は3円となるため、精製費も確保できない。系列仕切価格は、5~6円高となっているが、適正マージンは確保できず業績は赤字となっている。