日刊ニュース

2014.03.27 のニュース

設備処理、2次策を検討開始-新たに輸出の扱いが問題に-

 高度化法による設備処理は3月末で完了するが、同時に第二次高度化法の告示改正の議論が、28日から総合エネ調石油・天然ガス小委で開始となる。審議を前にして木村・石連会長は「今後も需要が減少していく状況下では、設備の最適化が望まれるため設備の削減が行なわれるべきである。実行性があるものにするには各社の意見を聞いて対応して欲しい。その際、製品輸出の対応を考慮すべきである」と述べている。
 検討項目は、装備率の向上、装備率の改善目標、取組み期間(現行は約3年間)、などの見直しが議論となるが、その他の制度設計では、輸出の扱いが新しいテーマとなる。
 製品輸出の扱いが増加すれば、国内需要の減少を輸出でカバーすることになるため供給確保が必要となる。そのため輸出増加をカウントすればトッパーの削減幅が縮小されることになる。最近は各社が輸出に力を入れていることもあり、輸出増加を需要にカウントすべきとの見方も出ている。しかし、輸出は海外市況、為替に左右され、安定性を欠くため、その扱いは難しい。
 現在は海外が製品高であるため輸出が増加しているが、増加がいつまで続くか不透明であり、海外の需給が緩和して海外市況が下落すれば逆に輸入することになる。そのため海外市況次第であり、輸出量の扱いを想定するのは難しいことになる。
 石油各社は、総合エネルギー産業化を目指して、石化、製品の輸出など海外展開に取り組んでいるが、輸出が安定的に増加するものなのか見定めることが重要となる。足元は輸出を見込んで増産で対応する動きもあるが、想定が外れると、一気に需給バランスが崩れ供給過剰となる。
 海外安となれば赤字となるため輸出はできない。輸出の場合は、長期契約、海外からの受託精製というケースは少なく、大半がスポット物であり、海外市況の影響を受ける。先行き不透明でリスクを伴うため、数量を確定することは難しい。
 一方、議論に入る第2次高度化法の基本的な方針は、第1次と同様に需要の白油化に対応した「原油の有効利用」が目的であり、重質油分解装置の装備率の向上となる。そのため装置の増強、新設が第一義となるが、新設には約1000億円の巨額なコストが必要であり、投資をしてもコストの回収は難しく、実際には投資が不可能な状況にある。その結果、引き続き装備率を向上させるためトッパーを削減することで対応することになる。
 トッパーはピーク時は600万バーレル/日あったものが、第1回の設備処理で約500万バーレル/日に削減、その後、一時増加したが、さらに削減が続き、08年4月には489万バーレル/日となり、今回の設備処理では足元で430万バーレル/日、今年4月には380万バーレル/日に減少する。原油の処理量は340~350万バーレル/日あるため稼働率は90%以上となる。
 極東石油は24日、トッパーを2万3000バーレル/日削減、能力を15万2000バーレル/日にすることを、経産省に提出したと発表した。2月時点で未対応であったコスモ・千葉、太陽・四国も設備処理の方針が決まり、期限ギリギリで足並みが揃ったが、同時に、第2次の方策が検討開始となったことで、設備削減はエンドレスとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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