日刊ニュース

2014.04.08 のニュース

減販、節約で価格競争の心配も 設備処理、定修で業転上昇を見込む

 消費税の増税分は転嫁されたが、今後は仮需要の反動による減販が続く状況下で市況が維持できるのかがポイントとなる。高値による節約の浸透が心配されるのと、3月の仕切価格値上げの未転嫁分の是正が求められている。一方、設備処理が進み余剰玉が減少することで、需給がタイトとなり、業転市況の値上がりで市場の正常化が期待されるとのプラス面もある。加えて月末からゴールデンウィークに入るため、ガソリンは増販が見込まれている。
 石油情報センター調査(1日)によると、ガソリン価格は164円10銭/リットルで前週に比べ5円10銭の値上がりとなり、消費税の増税分にあたる5円転嫁が達成となった。東京は166円、神奈川は165円となり5~6円の値上がりとなった。軽油は142円60銭で3円50銭の値上がり、灯油(SS店頭)は103円60銭で3円の値上がりとなり、増税分は転嫁されたことになる。全石連では、3日に開いた経営部会で各委員からも「全国で概ね増税分は転嫁された」との報告があった。
 増税転嫁策には政府の指導、準備期間もあり、SS店頭にポスターを掲示するなど販売業者間にも浸透していた。国が徴収する税金であるため転嫁は当然であるが、同時に石油石炭税25銭/リットルの増税(温暖化対策)も徴収された。
 増税分は転嫁されたが、①仮需要の反動で減販となるため、販売業者に焦りが出て価恒心争が展開されるのではないか、②増税前の3月の仕切価格は3~4円の値上げとなっているが未達となっており、その値取りができるのかなどの問題点も残る。 増税前には、駆け込み需要が発生して、SS店頭にユーザーが殺到したケースがTVなどで放映されたが、その反動で足元は減販となっている。さらに160円台相場による高値感からの節約で減販が見込まれ、減販が続くと販売業者も我慢ができず、値下げして増販を狙うことで、価格競争の再燃が心配となる。
 また、販売数量が減少しているため、元売各社は減産で対応しており在庫数量が減少しているが、減販が大幅となっているため業転を値上げするに至らず、低迷した状況が続いている。このため増税転嫁後の市況維持を心配する向きもある。
 ただ、プラス材料では、設備処理が達成されたため、需給がタイトになり、業転玉の出回りが減少すれば業転の値上がりが見込まれる。市況が正常化すれば、業転との価格差が縮小する。加えて製油所の定期修理となるため、設備処理との相乗効果で製油所は高稼働率となり、需給はタイトという理想的な体制となる。
 業転も値上がり、業転と系列仕切との価格差問題も解消することになる。今回の設備処理で石油業界の難問が一気に解決するか否か、高度化法施行による効果が期待されている。原油の処理が減少すれば、ガソリンなどの生産が減少し、需給はタイトになり、業転が値上がり、安値が底上げされて、元売、販売業者の業績向上が見込まれる。
 一方では、原油処理は減産となるが減販が予想以上となり、ガソリン、中間留分の生産は確保されることで供給減とはならず、業転の急騰は見込めないとの見方もある。その結果は、連休商戦時にはハッキリしそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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