2014.04.10 のニュース
失敗許されない増税転嫁
1日時点の全国平均のレギュラー店頭価格が164・1円と、前週比5・1円上昇した。石油業界は今回の消費税と地球温暖化対策税のダブル増税によって、レギュラーの場合およそ5円増税になるとアナウンスし、増税転嫁への理解を訴えてきた。調査結果をみるとその効果もあって、ほぼ即日で転嫁することができたと言えそうだ。全石連と都道府県の石油組合が結んだ転嫁カルテルの成果でもあろう。
普段は量販指向の員外業者も、今回は即日、増税分を価格に上乗せした。それだけ、だれもが税の未転嫁分をかぶる余裕のない、ぎりぎりのマージン水準であるということでもある。
我々はこれで気を緩めてはいけない。テレビなどでは31日のSS店頭の混雑と対比して、その翌日1日の閑古鳥の鳴くSSの風景を紹介していた。それから一週間、さすがに閑古鳥という状態ではなくなったが、まだ本調子には戻っていないことろが多いのではないか。価格に敏感な顧客は増税前の3月末に満タンにしているだろうし、160円を超える価格帯に突入しているから節約ムードも広がっている。こうした要因が重なり「お客さんの戻りが遅れている」と感じる事業者が多いかもしれない。
心配なのはこの売り上げ減に耐えきれず、廉売に打って出るSSが出てくることである。この大切な時期にその手法に走ってしまったら、マーケットは再び不毛な消耗戦の状態に陥ることになる。今回のダブル増税はなんとしてもこの事態を回避し、転嫁を成功させなければならない。
回避の決め手はもはや全体の2割を占める元売販売子会社の踏ん張りである。たとえPBの量販業者が採算を無視して値下げに踏み切った場合でも、その地域内の子会社SSがこうした価格に追随せず、率先して採算の取れる価格を堅持すれば、それが防波堤になって市況の崩壊を食い止めることになる。それがガソリン税と地球温暖化対策税などの徴税を担う元売の直系子会社としての責任でもあろう。
消費税は来年10月に8%から10%にもう一度引き上げられるし、地球温暖化対策税も再来年4月に第3回目として0・26円引き上げられる。石油製品はこの2年間で、あと2回も増税転嫁をしなければならないのである。だからこそ、今回のダブル増税は失敗を許されないのだ。