2014.04.16 のニュース
高度化法告示改正 各社から意見聞く-装備率向上の定義見直しなど-
エネルギー供給構造高度化法(高度化法)の経済産業大臣告示(判断基準)改正を巡って、石油業界から「各社の意見を十分に聞くべき」との要請もあり、資源エネルギー庁はヒアリングを行なっている。
前回3月28日の総合資源エネルギー調査会石油・天然ガス小委員会で、改正に向けた基本的な方向性が提示されており、これをたたき台にして調整が行なわれている。基本的には現行の白油得率の向上を狙った「原油の有効利用」を引き続き進めることになり、重質油分解装置の増強、トッパーの能力削減という双方から対応して装備率の向上を狙う。表向きの第一義は、重質油分解装置の増強を求めているが、原油の重軽格差が少ないためメリットがなく、コスト面からも難しいことから、結局は現行通りトッパーの削減が行なわれることになる。
先に決まった石油需要見通しでは、今後も年率1.7%減少が続くことからも、結局はトッパーの削減となる。今回の措置で、出光は徳山、JXは室蘭、コスモは坂出、それぞれの製油所を閉鎖している。トッパー能力は、石連週報の4月第1週でみると32万バーレル/日が削減され、能力は406万バーレル/日となり、稼働率は84%で前週に比べ3.4ポイント増となった。今後、さらに削減が続き、稼働率は上昇することとなる。
しかし、需要は今後も減少するため、現行方式を再度見直しすることとなった。各社からの意見を求めているが、①装備率向上の定義見直し、②新しい装備率定義による目的の設定、③新たに複数企業による連携措置の導入については配慮するなどの点で見直しすることになっている。
そのうち、装備率を算出するための分子となる重質油分解の能力については、現行ではトッパーからの残油留分から直接抽出・生産するRFCC、コーカー、H‐オイルに限定していたが、同じく白油の生産に寄与する減圧軽油を原料とするFCC、直・間接脱硫装置、水素化分解装置などのいわゆる2次装置を処理能力として加えるとの案もある。これにより分子が大きくなり、装備率が向上する企業が増加することになるため、多くの企業から検討が要請されていた意見である。
分母となるトッパーの削減については、現行では装置を廃棄していたが、廃棄の継続には限界もあるのと、1トッパーの製油所では廃棄は難しくなるため「公称能力の削減」を認めることになる。現行の削減措置でも一部は公称能力の削減を認めている。原油処理を減産するのと同じ効果を見込むことになり、各社が行なっている自主減産と同じ対応となる。その場合は、原油処理量の削減を把握する資料を確認できる方策を講じることになる。
新たに複数企業による連携が評価される措置については、新政策として打ち出している「複数事業所の統合型運営の支援」(地域・資本の壁を越えた設備の最適化、事業再構築)として新規予算を確保している。具体的には、コスモ・千葉と隣接する極東石油との共同事業化が検討されている。両製油所間をパイプでつなぎ、操業全般の連携による効率化を追及するもので、原油の選択、生産計画まで最適化を図る。これまでのリンクを進化させたものであり、本格的な共同運営を狙っている。