日刊ニュース

2014.04.23 のニュース

需給が締まり業転は値上がり-トッパー削減の成果を期待-

 高度化法によるトッパー能力の削減の期限である3月末を過ぎ、4月に入ってから44万バーレル/日の能力が削減され、394万バーレル/日となった。原油処理量は約330万バーレル/日であるため稼働率は84.7%、定期修理など除いた実稼働率は88.7%となった。稼働率は3月が80%であったため5ポイントアップした。
 能力削減は予想されたものであるが、設備処理による減産効果で需給はタイトで推移することになり、業転市況が値上がりすることが見込まれている。能力削減を機に、製油所の閉鎖で化学工場へ転換、油槽所への転用など新しい供給体制に移行することになった。
 石油精製は装置産業であり、フル操業であっても減産していても経費は変わらないため、稼働率がアップすればマージンが確保される。過剰設備が処理されたため、残った設備を集約して稼働率をアップさせ効率的な操業が可能となる。その結果、製油所の競争力強化に結びつくことになり、今後の生き残り策にもなる。
 また、各社は製品輸出の拡大、石化へのシフトにも取り組むが、海外市況や為替に左右されるためリスクを伴う。逆に海外安で輸入されるケースも予想されるため、製品輸出では国内の減販をカバーするにも限界があり、慎重さが求められる。一方、設備廃棄による除却損の発生、跡地が遊休資産となり、製品輸送費増などのコスト増、配置転換などのマイナス面も多く発生する。
 ただ、足元の需給は4月からの消費税の増税で高値となりユーザーに消費節約の動きが出ることで減販が心配されている。ガソリンは5円/リットルの値上がりで160円相場となっており、高値感から減販傾向をみせている。ガソリンは生活必需品であるため、販売数量は大きく落ち込むことはないとの見方もあるが、基調はマイナス傾向にあるため、今回の増税を機に、減販に拍車がかかると販売業者に与える影響は大きい。
 今後の経済情勢が好循環で推移すれば、ガソリンなどの製品需要も持ち直すが、大幅減販が続くと販売業者間にも焦りが出る。当面は月末のゴールデンウィークの販売動向がポイントとなる。3月末で増税前の仮需要が出たため増販となり、その反動で4月初めは大幅減販となった。今後に需要回復を期待するが、前年比ではマイナスとなる。
 これから製油所の定期修理に入るため実稼働率がフル稼働となることで需給は一段とタイトとなり、トラブルが発生すれば供給不足も予想される状況となる。業転市況が値上がりして、仕切価格との価格差が解消されることになれば業転問題が解決する道筋も見えてくる。販売業者サイドでは「設備処理により需給が締まって業転が値上がりとなる。これから需給調整が浸透して、5月にはその成果を期待したい」としている。
 元売サイドも、需給タイトを背景にして新しい仕切価格の体系打ち出しを検討しているが、その前提には業転の値上がりを見込んでいる。業転問題の解決策は業転と仕切価格との価格差が是正されることであり、どこまで縮小されるかがポイントとなる。その意味では、業転を原油CIF価格に適正なマージンが確保できる水準まで引き上げすることになる。ここにきて業転が値上がりをみせているため期待できそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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