2014.04.28 のニュース
2年内の「販売」の劇的良化
JX日鉱日石エネルギーのトップに杉森氏が昇格する。会見で、選任理由を述べた松下ホールディングス社長、さらには抱負を語った杉森次期社長、その両者からは「第2次中期経営計画の確実な達成」が頻繁に出た。昨年3月下旬に公表されたJXグループの2次中計では、2013~15年度を期間とし、それまで「石油精製販売事業」として括っていたJX日鉱日石エネルギーが担う分野を「エネルギー事業」に改称した。
その2次中計で、「エネルギー事業」で最終15年度に目標とされた数値は、在庫影響を除く経常利益で1550億円。うち「石油」は1000億円。現在の原油高、さらには為替の円安で大きく跳ね上がり、恐らく11兆円に迫っているであろう「エネルギー事業」の売上規模から推察して、十分に達成可能と感じていた目標数値だが、連休明けの9日に公表される初年度の13年度決算では、500億円前後の赤字アナウンスとなるだろう。「なにがなんでもやり遂げる」と明言した杉森新社長は、ここからの2年間で差し引き1500億円の収益浮上をその双肩に付託されたことになる。
「劇的な変革」が標榜された「石油精製販売事業」での経過は、室蘭の閉鎖など、「精製」は稼働率向上による収益良化の方向が見えつつあり、一段と安全・安定操業にまい進する方向だろう。残された変革のターゲットは、その最先端にSSがつながる「販売」である。支店業務課長、さらには支店長を歴任し、小売販売本部長という足跡が残る杉森社長は、「常に特約店・SSの隣にいた」と評される。現職は管理部門であっても、本籍は「販売」そのものといえる。
自民党・議連の野田毅会長の発案で、政治と行政の手を借りて、元売と全石連との協議会が発足にこぎつけた。最大テーマは業転問題となっているが、その目指すところは、過疎地でも経営努力と創意工夫によっては、SSがその機能を存続でき得る経営基盤の確立だ。悪い時はともに悪い、良い時にはともに良い。高度成長期や石油危機を含め、元売の収益と特約店・SSの収益の方向性は、ほぼ一致していた。間違いなくタフ・ネゴシエーターであり、特約店・SSに通じる第一人者でもある杉森新社長とともに、お客様の支持基盤を失うことなく、ともに良くなる方向へ、知恵を結集したい。