2014.06.18 のニュース
業転問題 協議会での対話に期待-元売と販売業者の信頼確保を-
石油業界の課題となっている業転問題は、12日に開催された全石連・郡山総会でも提示された。総会には全国の石商役員が約400名、元売各社の首脳も参加した。
ガソリンの業転問題について、関全石連会長は総会の挨拶で「業転問題の解決に向けた場として元売との協議会が設置され、5月15日に第1回会合が開催された。元売と率直な意見交換が行なわれたことは今までになかったことである。製販が一体となって、共に生きられる業界をつくるきっかけになることを期待したい」と述べた。これを受けて木村石連会長も来賓の挨拶で「業転問題により流通業界との間に溝が生じているが、今後は直接対話を続け、双方の信頼が確保されることで溝を埋めることができる」と応えた。
協議会はエネ庁、公取委が仲に入って調整となる。問題が独禁法との絡みもあって話し合いにも限界があるが、立法化の前段階でどこまで調整を図ることができるかがポイントとなる。全石連は市場環境整備のための立法化(議員立法)を要請しているが、その前段階で双方の話し合いで解決を図ることになったもので、今後の審議状況が注目される。立法化となると、過去には揮発油販売業法があったが、自由化を機に廃止された経緯もあり、現在は自由化の下でどこまで規制ができるのかなど問題点も多く、立法化のための根拠、法手続きの調整に時間がかかる。
業転問題を解決するには、供給過剰を解消することが必須となる。業転と仕切価格との価格差拡大の要因は、供給過剰により業転玉が市中に出回り、業転市況が下落するためである。そのため販売業者から、①業転を値上げして仕切価格との価格差を是正すべきである、②これができなければブランド料を引き下げるか、業転を自由に購入できるようにすべきであるなど、要請が出ている。だが、3月末で石油各社の設備処理が終了したこともあり、需給が締まるため、業転玉の出回りが減少するなど環境は整備されている。
全石連は、以前から業転安の実態を把握するため公取委に調査を求めており、その結果、業転玉は約20%を占めるまでに拡大、さらに価格差の拡大が指摘されており、この結果を基に元売に対して是正を要望した。だが、昨年度は高度化法による設備処理(今年3月末)を前にして、需要減少と駆け込み増産もあり、供給増から業転は下落した。そのため元売各社の3月期決算は、マージンの低下により赤字となった。一方、販売業者サイドも業転玉の出回りで無印SS、PBプライベートブランド)SSの安値攻勢による市況下落でマージンは減少、赤字経営となっている。
そのため全石連では、業転安の改善を元売、エネ庁に求めたが、効果的な対応策もなく経過したため、政治ベース(自民党)に支援を求めた。その結果、昨年3月に自民党・石油流通問題議員連盟(会長は野田毅・総務会長)が発足した。販売業界の立場に立っての運動を展開、行政指導で限界があるならば議員立法で対応するとして、昨年12月には「議員立法のたたき台」が提示された。だが、法律の作成、施行となると時間もかかるため、それ以前に石油業界内部で意見調整をする場として協議会の発足となった。