日刊ニュース

2014.06.24 のニュース

ガソリン高値で減販に拍車-増税に原油高騰が追い討ち-

 ガソリン販売は不需要期であるため減販となっているが、4月からの消費税の増税と、ここにきて原油価格の値上がりによって、仕切価格、末端市況が値上がりすることになり、高値により減販に拍車がかかることが懸念されている。
 末端市況は石油情報センター調査(16日)でみると、前週に比べ40銭の値上がりで、全国平均が167円/リットルの高値となった。8週連続の値上がりとなったが、週毎では何10銭単位の小幅な値上がりであり、通算すると2円程度の値上がりにとどまっている。マスコミは8週連続の値上げとして大きく扱っているが、値上がり幅は決して大きくない。今後も値上がりが見込まれているが、高値によるユーザーの節約志向が強まることで、減販が心配されている。
 イラクの政情不安で原油価格の値上がりが必至であり、ガソリンは170円相場も予想されてきた。6月から原油コスト連動方式に変更しており、原油価格の変動がそのまま連動する体系であるため、値上がりが仕切価格の値上げに直結する。従来の市況(業転)連動方式では、原油が値上がりしても直ちにガソリンの業転が値上がりせず、ある程度の時間的なズレがあったが、今回からは、原油コストに連動するため、即、仕切価格の値上げとなる。
 末端のガソリン市況が値上がりすると減販が続くことになるが、予想外の大幅値上げとなりそうである。石連週報(8日~14日)では、販売(出荷)は89万キロリットル(前週は97万キロリットル)となり、90万キロリットルを割る状況となっている。以前は1週間では100万キロリットルを越えていたが、最近は100万キロリットル割れが続いている。4月からの消費税増税による値上がりと、その後の仕切価格の値上げとが重なり高値となったことから、最近では減販が目立っている。
 ガソリンの販売は、今後5年間で年率2%の減少が見込まれているが、この2%減を上回る減販となりそうである。ガソリンの新規の需要開拓は難しい。逆に省燃費車、小型車が増加しており、EV、燃料電池車など次世代自動車が普及することになると、減販に拍車がかかる。次世代自動車が広く社会に普及するには、まだ時間がかかるが、ガソリン車の保有台数は頭打ち状態であり、今後は少子化で車の利用は減少する。
 ガソリンの増販策としては、販売価格を値下げするか、高速道路料金の値下げなどの方策が考えられる。だが、足元の販売価格は原油高騰により値上がりが続くことになる。増販するには猛暑でのクーラーの使用増によるものと限られてしまっている。
 残るはガソリン税などの減税による販売価格の値下げとなる。ガソリン価格高騰に対する減税は、以前、暫定税率の廃止で1ヵ月間25円/リットルを減税したことがあり、その間は増販となったが、財源不足で中止となったため、販売業界は大混乱した。今回は消費税増税を機に高値となっているが、減税措置などは講じられていない。消費税増税に追い討ちをかける形で、ここにきて原油価格が高騰しており、仕切価格の値上げとなってきた。
 ガソリンは販売価格が150円を越えると減販になるとみられているが、160円台を越えて170円という高値に届く状況となっており、減販が加速しそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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