日刊ニュース

2014.07.03 のニュース

いまこそ大胆な政策を

 国がSSの過疎化対策を大きな課題と位置付けていることは、現在、行われている資源エネルギー庁の資源・燃料分科会でも重要テーマとして取り上げられていることからよくわかる。SSの過疎問題は、急速に進む少子高齢化や人口減少によりマーケットが縮小している地方のSSが、規制緩和に伴う市場競争激化による収益性の悪化、さらには老朽地下タンクを多額の費用を投じて補修しなければならくなったという負担増が追い打ちをかけた結果である。
 一極集中が進むわが国の地方政策とグローバルスタンダードを旗印に進められた規制緩和政策、さらには突然出てきたタンク漏洩防止対策の義務付け、つまりSS過疎化は国の政策の変更がもたらした政策的構造不況の典型なのである。
 もう一つ、SSも含め地方の中小企業の足を引っ張っていることがある。地方公共団体の官公需の競争入札である。国は「中小企業対策として毎年、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づいて、「中小企業者に関する国等の契約の方針」を閣議決定し、地方自治体や地方公共団体にもこの方針を要請している。しかし、地方公共団体は財政状況が苦しいのを理由に、相変わらず競争入札を続けている。その結果、全国展開している大手企業や量販業者などが地元業者では提示できないような安値を打ち出し、その官公需要を根こそぎ奪っていっているのである。
 東日本大震災時に東日本一帯で燃料油の調達が困難になった。ある警察暑ではパトカーなど緊急車両の燃料使用が急増したが、入札で契約していた大手業者のSSとは連絡が取れず、仕方なく石油組合に給油してくれるSSを紹介してほしいと要請。組合は必死に要請に応えたが、供給が回復した4月には再び競争入札が行われ、その連絡が取れなかった大手業者が再び落札した。
 大震災の教訓から自治体と石油組合の災害協定締結が相次いでおり、普段の官公需を地元SSから調達するよう配慮するところも出てきた。しかし、大半の市場では相変わらず競争入札が繰り返されている。
 地域経済の原動力でもあるSS過疎化を阻止するためには、地域活性化や地元中小企業を優先利用するような強力な措置が求められている。政策的構造不況は政策でカバーするという大胆な国の方針が必要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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