日刊ニュース

2014.07.04 のニュース

設備は再び過剰供給構造に

 エネ庁は、産業競争力強化法の50条による調査結果をまとめて6月30日の総合エネ調に報告した。同時に高度化法に伴う設備処理は、3年後までに40万バーレル/日の削減とする方針(案)が発表された。競争力強化法による調査は、石油業界の事業再編を促す新政策として茂木経産大臣が調査を求めたもので、その結果をみて高度化法による告示(案)を提示することになり、調査結果を待っていたものである。
 この調査結果によると、我が国の精製能力は「現時点(3月末で第1次の設備処理は終了)では、これまで大きかった需給ギャップが一時的に縮小したが、今後の内需や輸出の見通しを踏まえると、現在の精製能力が維持されると、再び過剰能力を有する状態になる」と指摘。
 さらに、強化法の「事業再編指針」に示す要件に照らしても「概ね過剰供給構造である」ことが認められるとしている。今後、仮に現在の収益状況や精製能力が継続するとすれば、本格的過剰供給構造に陥るおそれが大きい状況にある」と分析している。その要件としては、①直近3年間の売上高営業利益率の平均値が過去20年間平均値より15%以上低減している、②3年以上にわたり製品価格の1年当たり平均上昇率よりも、原材料価格等コストの1年当たり平均上昇率が大きい(原油価格CIFとガソリンなど製品の卸値の比較)、などから供給過剰に該当することを実証している。
 これらの状況について早期の解消が見込まれないことから、石油精製業は構造上困難な業態と判断している。このような状況から「事業再編計画」の提出、承認などの動きも予想される。事業再編の実例としては、コスモの千葉と極東との合同会社による運営、パイプラインの建設計画が具体化している。
 しかし、事業再編等については、報告書でも「言うまでもなく個々の企業が自らの判断で実施するものであるが、そうした取組みが円滑に実施できるよう、政府としても必要な環境整備を行なうことが重要である」と指摘している。石油業界でも「事業再編は各社の自主的判断に委ねるべきであり、国は環境整備に止めるべきである。高度化法による設備処理も、同様に各社の判断とすべきである」との意見が出ている。だが、その背景には国としては強化法という法律で施行しているため、事業再編を促進することで、国際的な競争力強化の成果をあげたいとの思惑もあり、石油業界との綱引きが行なわれることになりそうである。
 石油精製業の競争力強化に向けての課題として①過剰精製能力の解消(需要に見合った生産体制の構築)、②統合運営による設備最適化(資本・地理的な壁を超えた製油所の統合運営)、③設備稼働率を支える稼動信頼性(設備保全)、④エネルギー効率の改善、⑤高付加価値化(残油処理能力の向上、石油化学の得率向上)をあげている。さらには公正・透明な価格決定メカニズムの構築」、「国際的総合エネルギー企業への成長」などの取り組みをあげている、これら政策は、現在、審議されている項目であり、次回以降の石油・天然ガス小委でとりまとめられ、報告書に織り込まれる。その後に来年度予算要求、新政策として打ち出されることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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