2014.07.22 のニュース
明るい業界展望を描きたい
3月末の登録SS数が3・5万ヵ所の大台を割った。ここ7年間で1万ヵ所、15年間で2万ヵ所、6万SS時代のピーク比となる20年間では2・5万ヵ所もの減少。残存率57%を裏返せばまさに“激減状態”というのが国内SS業の実情だ。
この変化の中では「新設」と「廃止」が繰り返されている。1990年以降の推移を振り返ってみると、91~95年までの5年間は新設が廃止を上回っていた。ここを境に、ピーク翌年の96年以降は一貫して廃止が新設を上回っており、特に98年からは毎年1千ヵ所超の減少ペースに衰えが見えない。90年からの累計では、新設1・7万ヵ所に対して廃止は4・1万ヵ所にものぼる。新設の多くは元売社有で、廃止したのは多数の1SSディーラーをはじめとする地場業者と、多店舗展開業者によるSS集約という構図が中心だったとみていいだろう。
一方、セルフは9千ヵ所の大台を突破し、全SS数の27%を占めるに至った。特に神奈川、埼玉、石川などは4割弱に達し、3割以上の地域が16府県にまで拡大。逆に、9県は1割台にとどまっており、ブロック別では近畿、中部、中国が全国平均を上回るなど、地域的なばらつきも目立つ。セルフ対セルフ、セルフ対量販フル、量販フル対量販フルの熾烈な競争に構造的減販という要因が加わり、地場フルSSが厳しい棲み分けを迫られる場面も増えるばかりだ。
中小販売業者の窮状は、揮発油販売業者数の推移からも明白。90年当時の3・3万社から、直近では1・7万社へとほぼ半減した。SS廃止が「廃業」と直結するケースは数多い。実にたくさんの仲間が石油販売業を去り、「売る側」から一消費者として「買う側」へと立場を変えていった。地元に居を構える元・組合員が旧知の組合役員や同志のSSに訪れる機会も多く、過酷な業界事情を察し激励している場面に出くわしたことも少なくない。
それでも、中小の石油販売業者がまだ大勢残っている。もちろん、元売販社をはじめとする大手ディーラーの存在感は大きいが、1社平均2・02ヵ所運営が国内SS業の姿だ。日本全国、津々浦々まで、灯油・軽油の配達を含めた石油製品の供給網を守り抜く。きめ細やかなサポートを尽くす。次代のエネルギー供給にも関わり続ける。この思いを皆が大事にすれば、明日が拓けてくる。