日刊ニュース

2014.07.28 のニュース

粗利を再構築する夏商戦

ほぼ平年並みのタイミングで全国的に梅雨が明け、SSも夏商戦の本番を迎えた。行楽へ出かけやすい天候が続くこと、その支出がリーズナブルな負担に収まることが、その商戦を下支えするベースとなる。
 この夏の暑さは平年並みという九州を除いて、北海道から沖縄まで暑くなる確率が優勢だ。一方のドライブに要する支出は、消費増税と高速割引の縮減という側面、さらには前週まで12週連続で値上がりを記録したガソリン高価格の影響など、懸念材料が実に多い。
 節約という家計の自助努力が顕在化する方向は免れないだろうから、数量面での無茶な商法はあきらめたほうが賢明だ。SSの夏商戦は質を追求するに限る。
 実は昨年の夏商戦では、多くのSSが賢明な選択をし、経営面で奏功した足跡が残っている。
 昨年7月のガソリン小売価格の全国平均は155・1円だった。その内訳は、原油が65・6円、税金は63・5円で、この2つで129・1円を占め、精製元売が12・7円、SSは8・5円、物流その他が4・8円の計26円が国内石油産業の付加価値だった。
 翌8月の夏商戦本番は、ここから国内石油産業は良化の足跡を残した。しかも、小売価格が前月比で5・1円も値上がりして平均160・2円と、2008年10月以来5年ぶりの高値に跳ね上がったにもかかわらず、精製元売は2・3円増の15・0円、SSは1・7円増の10・2円、その他4・7円となり、元売もSSも、ともに良化するという国内石油業界にとっての理想形となった。
 今夏は、原油安を下げ渋ったことで、すでに元売業績は劇的に良化している。その元売は、起点である原油コストから終点の小売価格の差額が大きければ、とにかく売ろうとする性癖がある。特に子会社SSがその尖兵になりやすいから、全石連と石油組合はその動向を注視する。
 一般的なSSの近況は、6月末まで続いた卸高に対して、その転嫁が追い付いておらず、じりじりと粗利を削って今日に至る。小幅ながら3週連続の卸指標値下がりを受け、どのようにこの変化を取り込むのか。それが今夏のSS経営の浮沈につながるだろうが、残念ながら今週は、ガソリン小売価格の値下がりの報が急増している。粗利を1円削っても、失うばかりで得るものはほとんどないことを肝に銘じたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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