2014.07.29 のニュース
事業再編 スピーディーな対応促す-企業の自主的な判断での実施を確認-
総合資源エネルギー調査会の石油・天然ガス小委の中間報告は23日にまとまった。エネルギー基本計画を踏まえて石油政策の方向性を示したことで、最終的な審議を終えたことになる。この報告書を元にエネ庁では来年度の予算要求、新政策に取り組むことになる。未審議となっていた「石油精製業の国際競争力強化」(総合エネルギー企業化への戦略)なども追加され、エネ庁が先に実施した産業競争力強化法(50条による市場調査)の結果と、エネルギー高度化法の大臣告示(判断基準)が報告され、了承を得た。
50条調査では「過剰精製能力」の状態にあるとの評価を下しており、告示では、前回と同様、残油処理の装備率の向上を目標としているが、実際は残油処理能力の増強(分子対応)は難しく、結局、トッパーの能力削減(分母対応)となり、約40万バーレル/日を処理することが必要であると説明している。装置の削減が困難な場合は公称能力の削減を認めており、設備は削減せず減産での対応を認めている。また、事業連携等による設備能力の融通措置を認めている。いずれにしても、製油所で約3ヵ所分の能力が削減される計算となるため、石油精製業界には引き続き重大な決断が求められる。
高度化法による設備最適化(実質的には設備処理計画)は、すでに石油各社には2017年3月末までの計画を、今年10月末までに提示するよう求めている。同時に産業競争力強化法による「事業再編の方針」の策定・届出を求めている。この事業再編の方針は、高度化の目標を達成するための手段であるとしており、短期間で具体的な計画をまとめることは難しく、方向性を示しつつ引き続き計画を報告することになる。
事業再編については、国が予算面、税制面で支援する構えにある。具体策では、コスモ・千葉と極東による合同会社での製油所運営がモデルとして検討中である。「地域・資本の壁を超えた連携」が、その他の地域で具体化することが期待されている。ただ、事業再編と言っても、製油所間の緩やかな連携から、最終的には企業の合併、統合を目指すことになるのか、その組み合わせも多岐にわたるため簡単ではない。しかし、一方では「産業基盤は厳しい状況にあるが、政府はあらゆる政策手段を総動員して環境整備を行なうことにより、スピーディーな対応を促していく」としており、石油精製業が国際競争力をつけて大きく飛躍するチャンスともなる。
「総合エネルギー企業化」については、石油などの資源開発、アジア諸国における石油精製(出光のベトナム)・石化事業、国内の電気・ガス事業への参入などは、石油連盟の提言で同じ方針を示している。各社ごとに、先行して実施している得意分野もあり、前向きに取り組んでいる。
国内の石油需要が減少する状況下では事業規模は縮小する一方である。石油はエネルギーの太宗を占めることには変わりはないが、事業拡大は望めず、製品輸出などで需要の拡大を図っているが、製油所の競争力が問われるところでもあり、海外市況との絡みもある。石油化学、潤滑油などの展開石油開発などに取り組んでいるが、石油に次ぐ柱になる本格的な事業展開を検討、推進する時期にきている。