2014.08.06 のニュース
元売の4~6月期業績は赤字-消費税増税による減販とマージン減で-
石油各社の4~6月期決算が発表されているが、セグメント別の石油事業でみると赤字となるなど厳しい状況にある。不需要期であったため減販となるが、消費税の増税と重なったことで減販幅が大きくなったのと、原油価格の値上がりによるコスト増の転嫁が遅れたことも影響したようである。
元売は原油価格とガソリン価格とのスプレッドが開き、精製マージンが改善したとの見方もあったが、予想外の赤字となったようである。そのため7~9月での販売増加と、マージン確保により、黒字計上での挽回を見込んでいる。
JXの石油製品(石油事業)の経営損失は242億円(在庫影響除き)となっている。前年同期は257億円の損失であったため15億円の改善となっている。
石油化学も19億円の損失(前年は224億円の利益)となったため243億円の減益となっている。前年は石油製品の損失を石油化学の利益でカバーしたが、今年は2事業とも赤字となった。その結果、エネルギー事業の合計では243億円の損失(在庫評価益は18億円)となり、前年が261億円の利益であったため504億円の減益となった。
その他の石油・天然ガス開発事業の経常利益が200億円(前年は310億円)、金属が97億円(101億円)、その他が95億円(53億円)となり、連結の経常利益は149億円(725億円)となった。在庫影響除きでは129億円(417億円)となる。
通期見通しでは、ドバイを105ドル/バーレル、為替を101円/ドルとし、連結の経常利益は在庫影響除きで2700億円と、前回予想の同額を見込んでいる。
東燃ゼネラル石油の1~6月期(上半期)の営業損失は、164億円(1~3月期は143億円の損失)となり、前回予想では1~3月の赤字を消して上半期で損益ゼロとしていたが、164億円の赤字となる業績の下方修正を行なっている。4~6月では精製輸出のマージン減と減販が予想を上回ったとしている。
富士興産の4~6月期は、連結の営業損失は1.2億円となり、セグメント別の石油事業では営業損失が1.6億円となっている。
伊藤忠エネクスの4~6月期の連結営業利益は16億円となったが、カーライフ事業(ガソリンなどSS販売)は、減販とマージン減の影響で税引前損失は5億円(前年は9800万の利益)となった。
他社もこれから決算を発表するが、原油価格は高止まりで推移したものの、マージンが確保できなかったことと、4月から消費税の増税による高値感から販売減が大きく影響したことになる。
3月のガソリンは消費税の増税を前にしての仮需で8.5%増となったが、4月は、その反動で8.8%の大幅減となり、以降、高値による節約が浸透して減販が続いている。このように4~6月の決算は不需要期でもあり赤字となったが、各社は7~9月では、黒字転換を狙っている。7~9月はガソリンを中心に需要期となり増販が見込まれるのと、原油コスト連動の新体系が実施となっているため、コスト転嫁と適正マージンは確保できるとみられ、利益の計上が見込まれている。