2014.08.12 のニュース
適正マージン確保で業績回復-赤字決算を反省材料に需給を締める-
石油業界では「石油製品(精製)マージン」と「流通マージン」の確保が再認識されているが、需給、販売政策の取り組みに違いもあってか、解決する方策を探るのは難しいようである。元売の4~6月の決算では、製品マージンの拡大、改善により業績が回復したことがポイントとなっている。
製品マージンは、原油CIF価格プラス石油税と、仕切、業転価格との差であり、その差が大きくなれば利益が確保され、元売の業績が向上する。しかし、マージンが確保され、国内市況が値上がりして利益幅が増えると、その差を突いて輸入が行なわれることになり、結果的には海外市況に調整されるため、高マージンは長く続かない。足元ではマージンが拡大しているが、今までが海外市況に比べると安値となっていたためである。最近は、輸出マージンが減少していることからみて、国内のマージン確保も限界に近づいていることになる。
国内の製品マージン減は、25年度の元売決算で赤字となったことで実証された。昨年夏場には、ガソリンが供給増となり業転市況が急落して原油CIF価格と同値に近くなり、LSC重油よりも安くなるケースが散見され、これでは赤字になると指摘された。ただ、この時期のガソリン在庫が低在庫であっても、業転市況が値下がりする異常な状況が続いたことが、赤字を拡大させる結果となった。その背景には、設備が過剰であるため低在庫であっても需給が緩和すると市場がみており、需要が
予測よりも減少することもあって、コスト割れとわかっていても、安値での販売が行なわれた。需給面、販売対応が全く機能しないという異常な状況が続いたことになる。設備処理を前にして、減販となったが、減産をせずに生産を確保したため、市況が下落して元売、販売業者が共倒れになるとの指摘もあったが、そのまま対応せざるを得なかった。
このような状況は、産業競争力強化法の50条調査の結果でも「精製業は、再び過剰能力を有する状態になる。そのため事業再編に取り組むことが期待される」との方針が打ち出され、第二次高度化法で3年後に40万バーレル/日の設備処理が決定となった。しかし、需要減の進行によって設備処理はエンドレスとなるため、これからも継続する問題となる。
高度化法の設備処理が3月末で完了、4月以降は製油所の定期修理と重なったことで需給が締まり、ようやく適正マージンが確保された。4~6月の決算では業績回復に転換したが、元売間でもバラツキが生じており、マージンは確保したが、減販の影響もあり赤字となっている。
ガソリンの流通マージンについては、どの水準が適正かが議論となるが、「再投資可能なマージンを確保すべき」との方針が経産省より示されている。具体的な数字となると10円/リットル以上とみられているが、完全確保することは難しい。
ガソリンのみのマージンではSS経営は難しく、油外収益の確保など多角化を展開しているが、実態は異業種、HC、無印などの進出によって防戦一方である。これらのSSは5円のマージンで経営が成り立つため、価格競争が展開されマージン増加が望めない。結果的にはSS数が減少することになり、過疎化が進む。