日刊ニュース

2014.08.13 のニュース

油価上昇で石油開発は好決算-元売の石油事業の赤字を埋める-

 石油開発企業、元売の石油開発事業の4~6月期の決算が発表されたが、前年に比べ油価・ガス価格が値上がり、為替が円安で推移したため、総じて増収、増益の好決算となった。元売の石油事業は原油高、円安のコスト増の転嫁が遅れマージン低下から赤字となり、この赤字分を石油開発の黒字でカバーしたことになる。
 開発企業の国際石油開発帝石の売上高は3411億円で前年同期比で386億円の増収(うち原油が358億円、ガスが18億円の各増)となり、経常利益は1940億円(前年は1506億円)で434億円の増、純利益は524億円(299億円)で224億円の増となった。石油資源開発の売上高は822億円で221億円の増収(原油が181億、ガスが30億円の各増)となり、経常利益は130億円(78億円)で51億円の増、純利益は99億円(58億円)で41億円増となった。2社とも増収、増益となっている。
 期中のブレントは109ドル/バーレルで前年比で約6ドル、ドバイは106ドルで5ドルの値上がり、為替は102円/ドルで3円程度の円安となり、原油、天然ガスの販売価格が値上がりした。
 石油開発では、原油価格が100ドル/バーレルを超える高値で推移、為替も100円/ドル台で推移すれば、確実に利益が見込まれる。その反面、原油価格が上昇すれば、鉱区獲得のための資金、投資額の増加、生産コストも上昇するため、資金調達、安定利益の確保が求められる。
 国際石油開発帝石のセグメント別で営業利益をみると、日本は50億円で13億円の増益となった。アジア・オセアニアは586億円で32億円の増、ユーラシアは174億円で47億円の増、中東・アフリカが1062億円で160億円の増となった。だが、米国は探鉱費の増加でなどで58億円の損失となっている。
 石油資源開発は、売上高が822億円で221億円の増収となった。うち原油で181億円の増収となっているが、イラクのガラフ油田の原油販売が加わったことで前年比171億円の増収となっており、これが増収分の大半を占めている。天然ガス販売では、国産は減少したが、海外ではカナダのブリティツシュ・コロンビア州シェールガス開発生産プロジェクトでの天然ガス販売が加わり、売上高は187億円となり30億円の増収となった。このように海外プロジェクトの立ち上がりが寄与している。
 元売各社の石油・天然ガス事業はJXが経常利益200億円で110億円の減益となった。数量は前年並み、油価の影響で増益となったが、経費の増加で減益となった。エネルギー事業で243億円の赤字、在庫影響除きで261億円の赤字となっており、これを石油開発の200億円、金属で97億円の黒字で相殺して連結では黒字となった。
 出光は営業利益91億円で51億円の増益となった。生産量は前年並みとなったが、前年は荒天による出荷時期のズレがあったのに対して今年は順調となり、増結となった。
 コスモは経常利益96億円で24億円の減益となった。油価上昇の各効果もあったが、一時的な生産コストの増加で減益となった。石油事業の30億円の赤字、石油化学の18億円の赤字をカバーして連結では黒字となった。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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