2014.08.26 のニュース
天候に左右されない骨太SS
8月のSSガソリン粗利はじりじりと拡大基調にある。数量が前年割れであるのは、ごくごく当たり前の現象である、という事実認識が多くのSSで共有された地域では、数量も粗利も減るという悪循環から開放されつつあるが、卸値下がりよりも早い先行値下げ、下げ幅を上回る拡幅値下げが生じた地域では、二重苦の悪循環が続いている。
目を空に転じると、猛暑続きの東京も先週後半から秋の気配が感じられるようになった。気象庁によると、東京で降雨がなく天候に恵まれた日数は、20日までの期間中14日間。それでも、ガソリン好調という話は全く聞かれない。猛暑の関東平野の山裾では雷雨、山の向こうでは、過去に例のない記録的ゲリラ豪雨に覆われる地域が数多く出た。
地方に目を転じると、名古屋以西は軒並み3日に2日の割合で降雨に見舞われ、SSも観光などの地域経済も泣かされた。降雨がなかった日数がわずか3日という広島や高知などは災害発生で、夏商戦の良否どころか、地域の平穏が大きく脅かされた。自社SSスタッフやお客様の安否、救援・復旧重機向けの燃料供給のために汗をかいたSSが多く出たことだろう。降雨がなかった日数が8日という仙台や新潟など北日本も天候に泣かされた。
総じてSS夏商戦は、首都圏を除くほぼ全国が天候に泣かされ、人やクルマの動きが大きな制約を受けた部分で、首都圏SSも数量不振に陥った構図といえる。ETC割引縮小も低燃費車の増加も、天候不順というマイナス要因の度合いに比較すれば、影響度はごくごく小さい。
そもそも人口減少に向かっている我が国で、内需をベースとする産業は、そろそろ前年比という指標と決別すべきなのかもしれない。仮に有効だとするならば、前年比の比較対象は総粗利に置くべきだろう。
お客様にとって170円よりも160円が好ましいには違いないが、いま身近にあるSSが存続し続けることのほうが、むしろ重要度が高いという地域も増えている。廉売SSよりも常に3円高のSSでは、すでにそうした方向に舵を切っているのに、むしろ廉売SSから高値敬遠説が聞かれる。豪雨でもSSを支えたスタッフに報いるためにも、必要な収益を得る骨太なSS経営を指向したい。天候に左右されないSS経営を構築したい。