日刊ニュース

2014.08.26 のニュース

水素社会にどう立ち向かう

 水素社会の実現に向けて政府などがさまざまな方針や提言をまとめている。今月末が提出期限の2015年度政府予算案概算要求では、この水素社会実現のための各種支援予算が盛り込まれることになりそうだ。

 水素戦略の予算案で注目されるのが燃料電池車(FCV)の購入補助金の額である。トヨタが今年度中に発売するセダンタイプのFCVは1台700万円程度とされている。国はこのFCV購入者に200万円ほどの補助金をつけるとみられているが「いまの政府の意気込みからすると補助額は300万円になるのでは」との憶測も飛ぶ。

 CO2や窒素酸化物を一切出さないFCVは究極のエコカーと呼ばれ、電気自動車の1回あたりの充電時間の長さや走行距離の短さに比べると、はるかに優位な走行が期待されている。

 一方でネックになるのが水素ステーションの建設コストである。1ヵ所当たり4~5億円とされ、通常のガソリンスタンドの5倍ものコストがかかる。国はこれにも補助金をつけて15年度中に100ヵ所設置する予定というが、この数で一般ドライバーのFCV購入意欲を喚起することができるのか。官公庁の公用車や社用車、タクシー、公共バスなどへの導入を働きかけるものの、水素充填所の少なさは自治体といえども導入を躊躇させるのではないか。

 こうした水素供給への不安を払しょくするために最も活用すべきなのが既存SSである。厳しい安全規制に沿って建設されたSSは防火塀にしろ施設構造にしろロードサイドで最も安全な施設と言っても過言ではない。その防火塀に囲われた敷地の一部を活用すれば簡易型の水素ステーションとして機能するはずだ。

 おそらくわが国でFCVが広く普及するまでの間、電気自動車以外の車の燃料はガソリンであり軽油であり続けるだろう。既存の車に供給しながら徐々に増加するFCVにも対応する併設型の簡易型水素ステーションは当分の間の主流になるのではないか。

 そのためには消防法をはじめ高圧ガス保安法などの規制を早急に緩和し、同時に安全性確保のための技術開発のスピードアップ、さらには簡易型水素ステーションの設置に向けた思い切った予算の投入が必要である。既存のインフラを活用することは予算の有効活用になるし、SSというサプライチェーンの維持にもつながる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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