2014.08.27 のニュース
灯油在庫積み増しは慎重-大儲けを避けて適正マージン確保-
石油連盟週報によると灯油在庫は211万キロリットル(16日)となり、前週に比べると18万キロリットルの増加となったが、前年に比べると69万キロリットルの減となっている。ガソリン在庫も160万キロリットルで前年に比べると50万キロリットル減という低位にある。設備処理のため生産が抑えられていることになるが、それにしても在庫は低水準である。
灯油のピーク時の在庫(石油統計)は06年9月末では500万キロリットルであったものが、昨年9月末は308万キロリットル(12月の販売は286万キロリットル)となっている。年間の販売は3000万キロリットルであったものが、1800万キロリットルと40%の減となっており、電気、ガスヘの燃料転換が進んだことになる。
灯油は季節商品であり、夏場の不需要期では値下がりするため、在庫を積み増し、冬場の需要期入りで値上がりするため、まず安い夏場の在庫から売り、儲けるのが灯油商戦の戦い方であった。だが、最近は夏場が安くとも冬場に値上がりするとは限らず、見通しが難しくなっている。
灯油在庫は、これから積み増しとなるが、原油価格は足元で下落しており、値下がりが予想される局面となってきたため、積み増しが難しい状況にある。大手灯油販売業者、ユーザーは、冬場での灯油の値上がりを見込んでこれから在庫を積み増しするが、原油価格が急落することになれば、見通しが崩れることになる。最近は冬場の需要期でも原油価格が下落することもあり、その判断は難しくなっている。
一般的には、値上がりを前提に需要期に備えて在庫を積み増しするが、裏目に出て灯油が下落すると、高値在庫をかかえることで大損するケースも出てくる。国内が予想以上に増販となれば輸入での対応も可能であるため灯油需給は弾力性がある。
灯油商戦は、天候次第で、販売数量も大きく変わるのと、暖冬になれば市況が急落するリスクが伴う。そのため在庫を多く持ち値上がりを見込み大きく儲けるという商法は減少している。過去においては冬場の灯油で勝負を賭けるという商法もあったが、マージンは少ないが、その時期の相場で売買して、大儲けでなく安定したマージンを確保する商法が主流となってきたようである。とくに原油価格の動向が不透明であり、先行きの見通しが難しくなっている状況下では慎重となる。
足元の業転市況でみると、ガソリンは85円/リットル、灯油は80円で「ガソリン高の灯油安」となっている。
だが、東商取の先物では11月限の灯油が82円、ガソリンは80円と灯油高に逆転している。冬場になると灯油高となるのが通常であるが、海外市況も同じ値動きをするため、海外で下落すると国内の市況も下落することになる。
今後の原油価格は、不透明であり、下落することも予想されるため、足元の体系通り推移するとは限らない。現在、在庫を積み増ししても冬場に下落すると裏目に出ることも予想されるため慎重な見方となってくる。そのためか最近は大儲けすることは避け在庫は多く持たずに、マージンは薄いが、損をぜず手堅く商売するケースが増加してきたようである。元売、商社、大手販売業者も夏場に在庫を多く持つケースも減ってきたようでる。