2014.08.28 のニュース
関心を持つことが第一歩に
3月末時点の軽を含めた乗用車の保有台数は約6000万台。これに対して、この10年間の軽を含めた乗用車の新車販売台数は平均で年間約450万台。細かいことは省くとして、計算上はほぼ13年で、国内の乗用車の全てが新車に入れ替わることになる。車種別の平均使用年数でも乗用車は約13年という結果が出ているので、この数字はそれほど的外れではないことがわかる。
一方、車両を車載PCによって電子制御する世界標準「J-OBD2」の導入が義務付けられたのが2008年10月から。いまから6年前の話である。つまり先ほどの数字を引用すれば、現在国内で保有されている乗用車の少なくとも約半数が、J-OBD2搭載車両ということになる。そしてJ-OBD2搭載車両の故障診断をするには、いまや故障診断機の主流を占めるスキャンツールが必要不可欠であり、言い換えるなら、スキャンツールがなければ国内を走る車の約半分に全く手が出せないということを意味する。
スキャンツールは、車のダッシュボードに設置されたデータリンクコネクターに装着することでJ-OBD2に接続され、故障箇所を示す故障コードの読み取りや設定変更が可能となる簡便な機器だが、カーディーラーを除いてこの保有率は驚くほど低い。国交省では補助制度を設けるなどして整備業界への普及に必死だが、思惑通りには進んでいない。SS業界ではなおさらだ。しかし今後、J-OBD2搭載車両の普及が加速することは間違いない。スキャンツールなしでは手出しができない車がどんどん増えるということだ。
結果として修理にまでは手が出せず、カーディーラーを紹介するしかなかったとしても、何のアドバイスもなしに「わかりません」と言って会話の糸口すら断ってしまうか、故障の箇所だけでも特定してアドバイスをした後にカーディーラーを紹介するか。ドライバーの受け止め方は全く別のものになるはずだ。そうやってドライバーの信頼をわずかでもつなぎとめておくことが、ドライバーにとってカーディーラーや整備工場よりも圧倒的に敷居が低いといわれるSSの、事業存続へ向けたひとつの姿を示唆しているとは言えないか。少なくとも、頭ごなしに可能性まで拒絶するような姿勢は避けたい。まずは関心を持つこと。出発点は常にそこにあるはずだ。