日刊ニュース

2010.11.03 のニュース

太陽、RFCC完成で装備率達成 ―各社はトッパー能力削減で対応―

太陽石油は四国事業所でRFCC(残油流動接蝕分解装置)が完成し、28日に竣工式を行った。能力は2万5000バーレル/日であり、トッパー能力は12万バーレル/日を保有しているため、重質油分解装置の装備率は20.8%となる。エネルギー供給高度化法の判断基準の目標は13%(平均は10.2%)であるため、この目標を上回ることになる。
 この太陽のRECCの完成によって、石油各社の大型の設備投資計画は一巡したことになり、今後は過剰設備処理問題に取り組むことになる。
 高度化法では、石油の有効利用として、重質油分解装置の装備率を引き上げることを目標としている。そのため、重質油分解装置の増強か或いはトッパー能力の削減を求めている。重質油分解装置の建設、増強となると、①石油の需要は白油も減少を続ける、②原油価格の重・軽格差が縮小されている、③巨額な投資を伴うため採算面からみると投資コストは回収が難しい、との見方から重質油分解装置の投資は見送りとなっている。その結果、重質油分解装匿の装備率を引き上げるためには、トッパー能力の削減に取り組むことになる。法的にはトッパー能力を削減するとは唱っていないが、実質的にはトッパーの能力を削減させることになり、過剰設備は約100万/バーレルとみられている。今後の能力削減は装置(製油所)の廃棄を伴うため各社の対応は厳しくなる。廃棄となると雇用、地元対策など多くの問題を抱えることになる。     
 太陽のRFCCについては「トッパーから直接生産される残油留分から付加価値の高い軽質油を抽出・生産する装置である。」としているため重質油分解装置(コーカー)と認めている。しかし、同じ軽質油の増産効果を発揮するFCCは、トッパー直接からの残渣油ではなく、減圧蒸留装置を経て抽出される残油留分、減圧軽油を原料油としてガソリンなどの白油化するための生産装置であるため重質油分解装置としては認められていない。
 そのためFCCを装備している会社では、白油化への対応には同じ効果が認められるため、重質油分解装置としてカウントすべきであるとの意見が出ている。しかし、今後の需要見通しは、電力用C重油が急激に減少、白油の目玉であるガソリンの需要も減少するため、FCCの位置づけも課題となるとして重質油分解装置とは認めていない。重油の販売が減少することで、白油化は進展するが、ガソリンなど白油の販売も減少するため、ますます高率的なボトムレス製油所が求められる。ボトムレスとはアスファルト、C重油などの残渣油を生産しない製油所への転換が必要となってきたもの。
 ただ、RFCC、コーカーの建設、関迎装置の建設には700~1000億円の巨額の投資が必要であるため、当面、建設する会社は出てこないとみられる。
 高度化法が施行され、判断基準に伴う装置の処理計画の提出日が10月29日であったため、太陽のRFCCの完成は1日前の28日であり、タイミングが合っている。
 最近では2月にコスモが堺製油所に重質油分解装置(2万500バーレル/日)が完成、稼動しているが、装備率でみると未達となっている。

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