2014.09.22 のニュース
マイカー利用を保つために
レギュラーガソリンの全国平均小売価格が4月1日以降、エネ庁統計ベースによれば160円台で推移し続けている。170円が目前に迫った2ヵ月前の直近ピークに比べるとやや下がってきたが、社会がガソリン高を強く意識している背景はデータ上にもうかがえる。
160円台の起点となったのは、まさに消費税・地球温暖化対策税のW増税だったから、より大きなインパクトを与えたのかも知れない。過去のガソリン価格はどうだったか。いまと同時期対比で振り返ってみると、昨年が161円、12年149円、11年146円、10年133円、09年129円。04年まで遡れば119円。原油が高騰していた08年の173円には及ばないものの、この5ヵ月強にわたる160円超ガソリンの常態化が消費者の節約指向を一層深めているとも考えられる。低燃費車人気の広がりもその現れで、例えば登録乗用車の新車販売に占める先月のHVシェアは35%、軽乗用車を含めれば22%程度と漸増傾向が続いている。
とはいえ、登録乗用車の平均使用年数は12年超と保有長期化が進んでいるので、全般論としては実燃費が急改善することはない。ここ1年間で極端に走行距離が減ったという訳でもなさそうだ。また、マイカーの世帯普及率は地域格差が大きく、最少の東京は2世帯に1台未満、最多の福井は1世帯に1・7台と4倍近い開きがあるが、東京は社用車も多いためか、地方と比べて走行距離が倍半分も違うというほどではない。
他方、自販連の調査報告書では、13年度の乗用車保有台数約6005万台が20年度時点で4%減~1%増と見通された。内訳は、登録車が7%減~12%減と減り続けるが、軽4輪は11%増~17%増まで増え、乗用車保有全体の約4割を占めるに至るとみている。
車両購入・保有実態や予測値をみると、ガソリン需要は右肩下がりで推移するにしろ、クルマ社会が続くことは確かだ。特に公共交通機関が少ない地方ほど、マイカーは手放せず、利用も減らせない。だからこそ、ガソリン価格が気にかかる。ガソリン高に対する懸念は、クルマの必需性への裏返しでもある。
原油価格を左右させる力はSSの手中にない。販売コスト削減も限界。さすれば、残る余地は過重で偏重的な石油関係諸税の引き下げ。同意が得られるユーザーも多いはずだ。