日刊ニュース

2014.10.01 のニュース

大口C重油はコスト連動で決着-石油税増税、経費増を加味して値決め-

 平成26年度上期(4~6月と7~9月)の大口C重油価格が一括で決まった。JXと電力などの大手需要家との間で決まったものであるが、小幅な値下がりとなっている。だが、LSC重油は8万2000円/キロリットル台、HSC重油は7万4000円台の高値が続いている。この値決めは3か月単位での原油などのコスト連動方式のよるもので、安定供給を目的に、長年に渡って実施されており定着している。
 LSC重油(東電向け)の4~6月は、8万2970円/キロリットルで前期に比べ80円の値下がり、7~9月は8万260円で370円値下がりとなった。小幅な値下がりとなっている。HSC重油は4~6月が7万4150円で1750円の値下がり、7~9月は同額の横ばいで決まった。
 原油高、為替の円安によるコスト増で、この1年間はLSC重油は約8万~8万3000円台、HSC重油は7万3~4000円台の高値で推移していることになる。
 足元のガソリン、中間留分の先物、業転(ガソリンは税抜き)が8万1~2000円であり、LSC重油の方が高値となっている。
 ここにきて、ガソリンなどの仕切価格は値下がりしており、時間的な差が生じているが、大口のC重油は、原油価格などコスト連動方式を導入しているため、ガソリンなど業転市況に比べると高値となるケースも出てくる。
 値決め方式は、原油価格、為替、国際価格(海外市況)と緒経費などのコスト変動を反映させたものである。7~9月価格(対象コストは6~8月)の原油CIF価格は南方が112バーレル/ドル、中東物は109
ドル、為替は102円/ドルとなっているが、足元の為替は109円となっており時間差がある。
 さらに4月からの新年度入りのとなっため、フォーミュラの一部は変更となった。
 4月から石油税が増税(温暖化対策税分)が250円の増税となった。さらにLSC重油では諸経費が840円増加が認められた。自家燃料費の増、タンク料のアップが認められたものである。その反面コストを算出する際の合成比率を、生産品・直脱品価格が75%。
 国際価格25%であった比率を70%対30%に変更したことで380円のマイナスとなることで調整された。
 いずれにしても原油高が反映して高値となっており、石炭、LNGとの競争力を失うことになり、C重油の減販が続いてる。東日本大震災を機に原発の停止などで電力用のG重油販売が急増したが、その後は減販が続いている。
 25年度では前年比で23%減、4月以降も減販が続いており、最近では6月は13%減、7月は23%減となっている。また、8月の電力10社のC重油の受け入れは67万キロリットルで40%の大幅減となっている。天候不順で電力需要の減少もあるが、石油は、石炭、LNGのベース電源に次ぐ電源となっているため落ち込みが大きい。一般産業用は、燃料転換が進んでおり減販が続くことになる。
 石油業界も、C重油の減販という需要構造の変化をとらえて、C重油の減産、生産しないように白油化に対応している。そのため重質分解装置の増強、新設に取り組んだが、需要減が大幅となり、白油化のメリットが享受できず設備処理で対応することになっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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