2014.10.07 のニュース
地方創生とSS過疎問題
SS過疎地対策連絡会が設置された。市町村内のSS数が3ヵ所以下の地域をSS過疎地と捉え、持続的な石油供給モデルを検証するという。SS過疎地は全自治体の15%に当たる265ヵ所におよぶ。SS数はピーク比4割減、3・5万ヵ所を割り込んだいま、「これ以上の減少」になんとしても歯止めをかけないと、全国津々浦々への安定供給はさらに危うくなる。
その区分は市町村単位なので、実際のアクセス環境とは一致しない場合もあろうが、一般論としてマイカー依存度が高い地域ほど、SS過疎の出現は深刻な問題だ。安倍内閣が“地方創生”を最重要課題と位置付ける中、基幹エネルギーである石油製品を容易に調達できないとなれば、生計がおぼつかない。高齢社会の進展は、移動手段としてのクルマの重要度を一層高める。様々な過疎地問題の中でも、SS過疎は日々の暮らしやすさを左右する一大事だ。
自販連調査によると、「運転を続けたい年齢」は平均74歳。その中でも「65~69歳」のユーザーは78歳、「70歳以上」は81歳まで運転したいと考えている。「実際に身近な人が運転を中止した年齢」も平均75歳というから、ほぼ一生涯にわたり主体的にクルマ生活を続ける意向を持っている様子がうかがえる。趣味性はさておき、移動手段として不可欠となっていることは明らかだ。地方都市では尚更だろう。
他方、SSの廃止によって配達業者が不在となり、灯油の入手が困難になる懸念も大きい。高齢化に伴い身体や判断能力が低下し、ついにはクルマを手放すユーザーも増えてくる中、灯油暖房の支え手である高齢者層のニーズに応え切れなくなり始めている可能性は否定できない。暖房は電気やガスで代替できるとの意見もあろうが、経済性はもちろん、慣れ親しんだ冬の暮らし方を変えることは、特に高齢者にとってはそう簡単ではないはずだ。
国交省「国土のグランドデザイン2050」によると、50年には1平方㌔メッシュでみて、現居住地域の6割以上で人口半減以下、うち2割は無居住化する可能性が示唆されている。過疎地問題は根深い。SSに安全に貯蔵された流通在庫と、プロの手による安定的な供給体制。厳しい商環境下でこれを続けることの険しさ、一方ではそれゆえの重要性をもっと理解してほしい。地方創生の期待に応えるためにも。