日刊ニュース

2014.10.09 のニュース

配慮があってこその災害協定

「地方創生」を重要課題に位置づけてスタートした第2次安倍改造内閣。SS過疎地対策の取り組みが不可欠であることは前号のこの欄で指摘したが、その地方創生の一環として国は、官公需法改正案を今国会に提出する。改正の内容は官公需の調達先として創業10年以内の中小企業やベンチャー企業など実績のないところも加えるというもので、石油販売業界にとって直接、現状の改善が期待されるものではない。
 ただ、この法改正と連動して、国が毎年、閣議決定したうえで地方公共団体などに要請している「中小企業者に関する国等の契約の方針」の内容も見直される模様だ。この方針に中小石油販売業者への配慮を求める声が出始めた。
 官公需法改正案の議論が行われた先月末の自民党の会合で太田房江参議院議員が、官公需の調達に際して地域の石油組合との間で災害時の燃料供給協定を結んでいる場合は、その組合や加入している石油販売業者に配慮する内容の文面を、「国等の契約の方針」に盛り込むよう求めたのである(3日付既報)。
 東日本大震災で石油組合や地場の中小石油販売業者は、緊急車両や病院などへの燃料供給に尽力した。その評価から多くの地方公共団体などが災害時の燃料調達の重要性を認識し、石油組合との災害協定締結を求めた。新たに結ばれた協定の中には、平常時の官公需調達において地元の石油組合やその組合員に配慮した契約とするよう協定書に明記したケースも登場した。
 災害協定を締結した石油組合や中小石油販売業者への配慮の方針が「国等の契約の方針」の中に明記されれば、これまでのような熾烈な競争入札によって地元以外からの量販業者による採算度外視の官公需落札に歯止めがかかることが期待される。
 東日本大震災で石油不足になった際、入札で落札していた業者とは連絡が取れなくなり、石油組合や地場業者に供給を頼った警察や病院が、供給が安定したら再び競争入札に戻るケースが続出した。「災害時だけ、組合員が連携して緊急車両などへの燃料調達に尽力しても、平時には厳しい入札で利益も出ない状態に置かれていては、地場SSそのものが存続できなくなる」。
 石油は災害時に本当に必要な物資である。だからこそ官公庁は、平常時に地元から調達することで、安定供給の道を確保すべきである。国の方針への明記が期待される。

提供元:全国石油商業組合連合会
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