日刊ニュース

2014.10.09 のニュース

値下がり局面では石油業界は不利-先取り値下げで利益を吐き出し赤字に-

 原油価格が値下がりとなり、ガソリンも値下がり局面となっているが、先取り値下げが心配となってきた。原油価格はドバイが92~3ドル/バーレルと値下がりとなり、為替が109円/ドルの円安となっているため、原油安を相殺して仕切価格は据え置きとなっているが、ここにきて仕切価格は値下げが予想される状況となってきた。
 石油業界では、値下がり局面の方が不利となるケースが多く、値上がり局面の方が利益を確保できるのが通例となっている。値上がり局面では、主に地政学的リスクを背景にして、原油の供給不安から原油価格が高騰するため、緊迫感も出て国内市況の値上げが容易な状況となるためユーザー転嫁も浸透する。
 値下がり局面となると、原油の値下がりと需給緩和を背景にしているため、先取りして末端価格の値下げ競争が展開される。結局は、仕切価格の値下がり分よりも市況の値下がり幅の方が多くなり、マージンが減少して利益を吐き出すことになる。
 本来ならば、値下がり局面の場合は、我慢して市況を維持すれば、マージンが確保できることになるが、この我慢ができず、仕切価格の値下がり分以上に末端市況が値下がりするのが実態である。へたなゴルファーの下りのパットと同じで打ち過ぎてカップを大きく外し、返しのパットも寄らず、パット数が多くなるが、やはり下り方が難しいのが通例である。
 原油価格が下落、ガソリンも値下がりして、高値感が薄らぎ需要が回復することは石油業界としても歓迎される。だが、マージンを確保しながら値下げすることは難しいことになる。ただ、赤字を覚悟して4~5円を値下げしても、需要が回復することはなく、冷静な対応が求められる。ガソリン価格が値下がりして、需要の回復を期待するには、原油価格の急落かガソリン税の大幅減税しかない。
 ガソリン価格は、7月には石油情報センターの調査価格は170円相場となったこともあり、販売数量は7月が前年比で10%、8月販売は6%の減販となった。台風の到来と天候不順が大きな要因もあるが、170円の高値も大幅減の要因となっている。足元は166円に値下がり、安値は160円を割って150円台も多くなっている。
 「ガソリン価格は150円を超えると、ユーザーは高値感から節約するため減販となるとの見方もあり、現状では、現販が続くことなる」との見方となっている。ガソリンの高値は、車の利用が多い地方で問題となっている。以前は車が贅沢品であり、ガソリン価格には関心がなかったが、最近では地方では車社会が定着してきた。車がないと生活ができない状況とり、家計に占めるガソリン代の占める比率が高くなってきた。そのためガソリン高が地方から問題となってきた。
 国会でも審議となるが、自由化の時代であるため、国がガソリン価格を値下げる方策はない。原油価格の高値を反映しているためで、原油が下落しないことにはガソリンは値下がりしない。緊急時であれば、便乗値上げをチェックすることも必要であるが、平時あるため価格への介入は難しい。
 残るはガソリン税の減税となるが、これも財源不足であり、消費税の増税が議論されている状況応であり、政府はガソリンの減税を認める余裕はない。しかし、ガソリン高を安くするは減税しか方策がないとの意見が多くなりつつある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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