日刊ニュース

2014.10.15 のニュース

原油下落80ドル相場に急変 新しい対応、相場づくりが求められる

 原油価格が急落しており、元売の業績にも大きく影響しそうである。WTIは84~5ドル/バーレルへ下落しており、他油種も80ドル台となっており、100ドル相場から一気に80ドル相場への状況が急変しそうである。6~8月の100ドル台の原油高では石油製品が値上がり、販売減が続き、減収、減益となったが、今後は値下がりにより需要が回復して、増販、増益が期待されている。
 しかし、原油下落を先取りして値下げ競争が展開されることも予想されるため利益を吐き出し業績悪化するとの心配もある。過去においては、原油価格の下落時には石油製品価格が急落して赤字となったことも経験もしており、慎重な対応が求められる。原油価格の下落には、プラスとマイナスの両面があり、石油製品価格は値下がりしてもマージンを確保し、値下がりにより需要回復を期待することで増益を見込みたいところである。そのためには価格競争を避けて、マージンを確保するという冷静な対応が求められる。
 一方、原油の下落は、元売の石油開発事業、石油開発会社に、大きな影響を与える。即減収、減益に繋がるため業績は悪化するため厳しい状況となる。今までの元売の連結決算では、原油価格が100ドルを超えた高価格によって石油開発部門では大幅な利益を確保した。一方、精製・販売部門では減販、マージン減少で実質赤字となっており、この赤字を石油開発部門の黒字でカバーしていた。だが、原油下落では石油開発部門の業績は悪化するため、赤字の補填は難しくなるなど、投資計画も見直しが迫られることになる。
 今後は、本体の石油事業で利益を確保して、石油開発部門を支援することになるなど攻守が交代する時期となることも予想される。
 足元のWTIは85ドル/バーレル(9月平均は93ドル)、ドバイは90ドル(97ドル)、ブレントは88ドル(97ドル)で推移しており、1ヵ月で約10ドルの下落となった。WTIは3日間で約5ドルの急落となっている。原油も急落を受けて、東商取(10日)の先物はガソリンが73円/リットル、灯油が57円、原油が60円と下落している。原油の下落によって、今後の末端市況は、新しい市場が形成されるが、原油価格が、どの水準に落ち着くのか、様子をみることが必要となる。
 原油価格は先物市場で形成されており、金融商品化しているため予測が難しい。今回のような急落は想定外であり、値下がりが続くと打つ手がない。今後は値上がり材料の出るのを待つしか方策がないが実情である。今までも需給状況からみると高過ぎるという見方から調整局面の入ったとの見方もあるが、もう少し様子をみる必要がある。
 原油価格の下落の要因は、①中東情勢も安定しており地政学的リスクが緩和してきた、②欧州、中国などの経済成長が鈍化してきた、③原油価格の下落でOPECが減産を実施すると伝えているが、実現する可能性が薄い、④ドル高となり、原油価格が割り高となったため売りに出た、などあげられるが、これらも後出しの理由付けであるためハッキリしない。市場は石油の需給で決まるとの原則はあるが、先物相場は、各人も思惑、見通し、他の商品との相場などが絡んで形成されるため実態を見定めるしか方策はない。そのため原油のコスト変動をユーザーに、いつでも確実に転嫁できるルールを定着させることである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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