日刊ニュース

2014.10.23 のニュース

経営展望を左右する「人の力」

「この場所、以前はなにかの施設があったような・・・」「確か、ガソリンスタンドだったはず・・」。おそらく、SS跡地ではこのような会話が交わされていたりするケースが各地で見られるのだろう。閉鎖した当事者としてはとても重大な決断を下した末の姿なのだが、当該SSを利用していたユーザー以外にとっては、1つの光景の変化に過ぎないのか。だが、すでに全国ベースでピーク比4割超のSSが姿を消した現実を我々は知っている。
 交通量の多い主要道路沿いには中・大型のSSが相応に点在しているので、クルマに乗る機会が少ないドライバーや比較的通勤距離が長いユーザーらはさほど不便を感じていないのかもしれないが、顔の見える付き合いを重視してきた立地では、地場SSの減少を懸念する声が上がり始めている。過疎地はその際たるものだ。特に、地域生活と密接な高齢者や中小法人顧客は“馴染み感”を重視して街の情報を共有したり、支え合いを大切にしてきた。中小SSがコミュニティ形成の重要な役割を担ってきたと言われる所以だが、そのバランスが大きく崩れてきたことを察知したシグナルとも映る。
 大手資本の増勢と、個店の苦境。これはSSに限ったことではないが、広い敷地を要し堅牢な施設を持つSSゆえ、外形上は他業界ほどには優劣が見えにくい。しかし、実情は言うまでもない。運転資金は大、利幅は小。節度を超えた過当競争から、真の勝者が生まれるのか。適正な利益なしに、石油業界の繁栄が訪れるのか。エネルギーの垣根が取り払われようとしているいま、身内で潰し合っていていいのか。
 過日、家業の石油販売に関わる意思がなく、全く別の仕事に就いていた若者が、“地元愛”の大切さに目覚めてSS業に戻ったという話を耳にした。いわく、単に消費者の立場だった際は「うちのガソリンは高いのに、なんで商売が続いているんだろう」と疑問に感じていた。しかし、いざ売る側に回ってみると、「お客様は値段だけでSSを選んでいるわけではない。店の雰囲気だったり、地元意識の高さでつながり合っている」実態に気付いたという。
 他方、量販店間の競争も激しさを増している。ユーザーは接客やサービスなどを含め総合判断する。日本に無人SSは存在しない。大手も小手も、人を介した訴求力・提案力が絆の源泉であることに変わりはない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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