2014.10.27 のニュース
4・6倍の意味するもの
総務省が発表する全国家計調査。この中で県庁所在地・政令指定都市別の1世帯当たり年間ガソリン支出金額が調査されている。その2013年調査結果によると、1年間に最も多くのガソリン代を支出しているのは茨城県水戸市で1世帯当たり9万8305円。逆に最も支出が少ないのが東京都区部の2万1453円だった。つまり水戸市の世帯は東京都区部のおよそ4・6倍ものガソリン代を支払っているということで、当然、ガソリン代に含まれる税金も4・6倍負担しているということだ。
ガソリン支出金額の多い順に並べると水戸市に次いで石川県金沢市の9万5170円、栃木県宇都宮市の9万5109円、山口市の9万3720円、5番目が山形市の9万2830円と9万円台が続く。
一方の支出金額の少ない順では、東京都区部に続いて大阪市の2万3493円、神奈川県川崎市の2万7124円、兵庫県神戸市の2万7247円、そして5番目に少ないのが京都市の2万8450円となる。
これらの地名を見ると、公共交通網が張り巡らされている大きな都市に比べ、自動車が生活の足になっている地方で、ガソリン使用量が多くなっていることが明らかである。
ここで注意しなければならないのは、この調査の対象となっているのが各都道府県の県庁所在地や政令指定都市であることだ。どこでもある程度そうだと思うが、県庁所在地は同じ県内でも比較的に公共交通網の整備が進んでいる場合が多い。そうすると、県庁所在地以外の市や町、特に過疎化が進んでいる地域の一世帯当たりのガソリン使用量はさらに多いことが容易に想像できるのである。
当然、ガソリン支出金額の比較も4・6倍どころではなくもっと大きな格差になっているはずだ。
地方のドライバーにとっては、ガソリン税が地方の道路整備に使うという「道路特定財源」だったころならその税額の差も我慢できただろうが、一般財源化された後のこの税負担の違いには納得いかないはずだ。
原油価格が下落しているものの、1㍑当たり164円という現在の全国平均価格は、生活の足となっている地方の人たちには大きな負担となっている。これを解決するためにはまず、ガソリン税の「旧暫定税率」を縮小することが必要である。「地方創生」を掲げる第2次安倍改造内閣の最大の課題であるはずだ。