2014.10.30 のニュース
未知の災害に備える
御嶽山の噴火による行方不明者の捜索は、結局、来春まで待たざるを得ない状況となりそうだ。戦後最悪の火山災害は、まだ終結していない。それにしても、この1年を振り返っただけで、なんと多くの、そして多様な自然災害に見舞われたことか。伊豆大島の集中豪雨、関東・甲信の豪雪、広島の土砂災害、御嶽山による火山災害、そして度重なる台風被害。次はなにかと思わず身構えてしまう。
東日本大震災を経て、SSは命に直結する役割を担える存在になり得ることを証明した。しかし同時に、大震災で、さらにはこの1年の間に日本を襲った様々な自然災害で、当然のことながらSSもまた被害を受ける側に立たされるという事実を、はっきりと突きつけられたように感じる。
災害時の被害を受ける側としての対応について、「ぜんせきweb」のアンケートで聞いている。それによると、緊急時のマニュアルも含めたBCPについては、73%が作成していなかった。作成し訓練も実施しているのはわずか6%だった。また、大規模災害発生時の従業員の安否確認の手段については、携帯電話・携帯メールが67%を占め、災害伝言サービスなどの公共の仕組みの利用は5%にとどまった。特にないとの回答も17%に達した。
その一方で、手回し給油や非常用発電機を実際に作動させたことがあるかとの問いには、災害時と訓練を併せると72%が経験ありと答えている。どちらも全く経験がないという回答は25%に過ぎなかった。災害発生を想定して普段から用意しているものについても、手回し給油用ハンドルと非常用発電機を併せると30%近くに達する。
これらの答えが導き出すのは、SS関係者が大規模災害発生時に、緊急車両や地域住民のためにSSを稼動させることには大きな力を注いでいる一方、経営者自身や従業員の安全確保にまでは、まだ十分に気が回っているとは言えない現状だ。
SSが未知の災害に本気で備えなければならない時代が、本当にやってきている。SSが地域の力に、命に直結する役割を担う力になり得ることは証明された。いま必要なのは、その前にまず、自分の命を守り従業員の命を守るための対策を真剣に考えておくことではないか。そのことが、ひいてはSSを訪れる顧客の安全確保にもつながるはずだ。